青森県議会 > 2011-06-29 >
平成23年原子力・エネルギー対策特別委員会 名簿 開催日: 2011-06-29
平成23年原子力・エネルギー対策特別委員会 本文 開催日: 2011-06-29

  • "処理計画部長"(/)
ツイート シェア
  1. 青森県議会 2011-06-29
    平成23年原子力・エネルギー対策特別委員会 本文 開催日: 2011-06-29


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○開 会  午前10時30分 ◯神山委員長  ただいまから原子力・エネルギー対策特別委員会を開きます。  慣例により会議の記録署名委員を指名いたします。清水委員、古村委員にお願いします。  本日の委員会は、国、事業者の方々に参考人として出席いただいております。  担当書記より参考人の方々を御紹介いたします。 2 ◯葛西議事課長  それでは、参考人の方々を御紹介いたします。  経済産業省原子力安全・保安院、山本哲也原子力発電検査課長です。  同じく、真先正人核燃料サイクル規制課長です。  次に、経済産業省資源エネルギー庁森本英雄原子力立地核燃料サイクル産業課長です。  次に、日本原燃株式会社、川井吉彦代表取締役社長です。  同じく、大和愛司代表取締役副社長です。  同じく、中村裕行理事・再処理事業部再処理計画部長です。  同じく、齋藤英明理事・再処理事業部土木建設部長です。  同じく、岡村泰治再処理事業部放射線管理部長です。  同じく、大枝郁再処理事業部再処理工場技術部長です。  次に、東北電力株式会社、津幡俊執行役員・東通原子力発電所長です。
     同じく、古川榮一東通原子力発電所副所長です。  同じく、志賀衛東通原子力発電所副所長です。  同じく、阿部正信東通原子力発電所技術課長です。  同じく、笹原順一東通発電所電気保修課長です。  同じく、小松原宏青森支店副支店長です。  次に、東京電力株式会社、佐久間三喜夫理事・青森事務所長です。  同じく、四方俊和東通原子力建設所長です。  同じく、伊藤大輔東通原子力建設所副所長です。  同じく、寺村芳明東通原子力建設所副所長です。  次に、電源開発株式会社、林耕四郎常務執行役員・大間現地本部長です。  同じく、静間久徳大間現地本部大間原子力建設所副所長です。  同じく、伴一彦原子力建設部長です。  次に、リサイクル燃料貯蔵株式会社、久保誠取締役社長です。  同じく、竹田知幸取締役兼技術部長です。  同じく、岡島靖司土木建築担当部長です。  同じく、田中英朗建築技術担当部長です。  以上でございます。 3 ◯神山委員長  これより、5月17日に開催された「福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた県内原子力施設の安全対策についての議員説明会」及び6月16日に開催された「福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた県内原子力施設の緊急安全対策の実施状況に係る国の評価等に関する議員説明会」での説明に対する質疑を行います。  なお、質疑は、お手元に配付の「質疑順序・質疑時間」により行います。  質疑時間の終了5分前に予告を、終了時に終了通告をそれぞれブザーで行います。  質疑は発言席において行い、答弁は答弁席でお願いいたします。  なお、答弁者は、挙手の上「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  それでは、質疑を行います。  阿部委員の発言を許可いたします。──阿部委員。 4 ◯阿部委員  おはようございます。自由民主党の阿部でございます。もとより、国のエネルギー政策を肯定しながらこれまで推進してきた者の一人であります。  今回の福島の原発の事故というようなところの中で、私は、科学者でもありませんし、技術者でもありません。政治家であります。そういう政治の場にある者として今まで推進してきたこのエネルギー政策ではございますけれども、推進派から慎重派に立場を変えながらこれはしっかり検証をしていかなければならない、そういうような思いの中で、今回自民党の第1番バッターとしてこの場に立たせてもらっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  100日以上たちました。まだ福島原発の事故そのものの収束はされておりません。現状、まだまだ不安な部分がいっぱいございまして、今、生まれ育ったふるさとを捨てて被災地を避難されている方々が大勢いらっしゃるということを踏まえながら、我が青森県も原発の立地県でもありますし、またそのエネルギー政策の最頂点にあるサイクル事業をやっている県でもありますので、そういうことも踏まえながら質問させていただきます。  まず、一番最初に聞いておきます。今回の地震・津波、これは天災だろうと思っております。その後の福島におけるこの原子力発電の問題、まだ収束していないこの事故、これについては人災なのかどうなのか、それをまず、国の原子力安全・保安院並びに資源エネルギー庁──これを取り締まるといえば大変あれですけれども、そういう法的な部分のところの中でやられている方に質問します。人災なのか天災なのかというようなことで質問させていただきます。  我々、いろいろな報道とかそういうものでしかわかりません。そういうことも我々はずっと承知してきておりますので、いろんな説明とか云々とかとあろうと思いますけれども、端的に、人災なのかというふうなことでお聞きします。 5 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えさせていただきます。  今回の福島第一原発の事故でございます。もちろん発端は東日本大震災によります地震と津波、これらによりまして福島第一原発のすべての交流電源が失われ、かつ原子炉の冷却機能が失われた、これが事故の直接的な原因でございます。  その中で、私ども政府といたしましては、事故発災後、緊急原子力災害対策本部──これは法律に基づく本部でございますが、これを設置いたしまして、総理の指示のもとでこの事故の進展に対してきちっとした対応を行ってきたところでございます。  その間、事象の進展に応じまして、原子炉等規制法という法律に基づくベントの命令でありますとか海水注入の命令、こういったことをいろいろ実施いたしました。  しかしながら、御指摘のとおり、残念なことに、この原子炉のことにつきましては、炉心溶融に至りまして、大量の放射性物質が放出されるに至りました。これを防止することができなかったことにつきましては、私ども保安院としましても、大変遺憾に思っておりますし、大変申しわけないことだと思ってございます。政府としましては、それぞれの対策はきちっと行ったつもりでございますけれども、結果としてこういう事態を招いたことも事実でございます。  これらの対応につきましては、現在、政府におきましては、事故調査・検証委員会というのが実施されますので、そういった中できちっと評価されることになるかと思っております。私ども政府としましては、最大限の努力はしたつもりでございますけれども、そういう評価は、こういう客観的な場の御意見、検証をお待ちしたいと考えているところでございます。 6 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  資源エネルギー庁の森本でございます。  私のほうからは、事故の原因等について、推進側の人間から言うのは適切かどうかはございますが、先生のほうからの御下問でございましたので、お答えをさせていただきます。  今、保安院の山本からも答弁させていただきましたとおり、事故検証の場が別途設けられておりますので、今後そうした場所で事故の原因について徹底的な検証がなされるものと我々としても承知しているところでございます。  ただ、今回の事故の原因について私から申し上げる立場にはございませんが、一方で、広い意味での人材の育成等々について課題が摘出されているということも事実でございますので、我々資源エネルギー庁としても、そうしたところには今後取り組んでまいらなければならないと考えているところでございます。 7 ◯阿部委員  答えられないんだったら答えられないでいいの。さっきも冒頭言いましたけれども、我々は報道でしかわかりませんけれども、いろいろな、どういうことがあって、どういうふうになって、どうなったかというのは我々も承知しているんですよ。そこの中で、簡単なことを聞いているんですよ、人災なのかと。  そういう、今現在で答えられないというようなことも含めてだったんだろうと思う、そのために皆さん方は今そういうふうに答えたんだろうと思いますけれども、しかし、諮問機関なのかどうなのかわからぬけれども、原子力安全委員会の斑目委員長はまさに人災だと言っているんです。皆さん方が答申をし、それからいろんな法律をつくっていくときの一番のかなめになっているというか、承知しておらないものでそういうものを言うというのは大変語弊があると思いますけれども、原子力委員会の委員長がまさに人災だと言っているんです。  それから、衆議院の特別委員会で6月9日に答弁されていますよね。質問に対して答弁されているんです。このときも、たとえ津波が想定を超えたからといって、第2、第3の防護手段がなければいけない、それなのに実際にそういう手段というのを講じていなかった、このことはまさに人災であるというふうに言っているんです。  もう一回聞く。 8 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の津波・地震に対して設備は極めて脆弱であり、それに対する備えが不十分であったことは御指摘のとおりだと思っております。  今回のこの経験を踏まえて、そういうことがないような対策を新たに実施をしているわけでありますが、少なくとも福島第一の事故に関しましては、そういう備えが不十分であったこと、あるいは、こういう津波など大きな問題が起きたときの想定に対する技術的な対応が不十分であったこと、これは御指摘のとおりであると思っております。  原子力安全委員会においても、こういう原子力設備の安全に関します指針の見直しをこれから実施する、私どももそれに合わせて対応してまいりますけれども、そういう反省のもとに今後の対応をしていきたいと考えておるところでございます。 9 ◯阿部委員  あなたたちの答弁には時間がない、我々は時間が規制されている。これから、質問して答弁して、質問して答弁してということになっていくから、答えられないんだったら答えられないでいい。しかし、人災だというようなことの中でいけば、これから安全の度合いを上げていくところにおいて議論が違ってくる。だから、私は、まず冒頭に、これは人災なのかということで聞かせてもらったんです。  そこで、福島第一原子力発電所の事故の経緯を踏まえて、初動対応あるいは組織体制の妥当性をどう評価するのか。特に、既にメルトダウン、メルトスルーが起きていると言われている。そして、水素爆発に至ったのはどこの対応が誤ったのが決定的だったのか。最新の知見を踏まえて、現状でわかっていることがあれば伺いたい。まず保安院に、そして次に東京電力にお聞きをしたいと思います。まず保安院。 10 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘のメルトダウンあるいはメルトスルー、つまり炉心損傷及び炉心溶融に至った経緯でありますが、これは原子炉の冷却が十分できなかったことによります。  本来ですと、非常用の冷却設備がすべて停止した場合、それを補うためにポンプ車などによりまして水で冷却を行うべきところでありましたが、結果的に見ますと、その冷却の対応が時間的におくれていること、それから、こういうふうに原子炉の圧力が上がってまいりますと、いわゆるベント操作といいまして中の圧力を逃がす操作が必要になってまいりますが、これについても、後の解析などをいたしますと、やはりもう少し早期に実施すべきであったということが判明してございます。したがいまして、そういう初期の対応が結果的には非常に遅かったということが反省点として挙げられるところでございます。  したがって、そういう対応をきちっと手順化し、迅速に対応できるような体制をつくっていくことが極めて重要であろうというふうに考えております。 11 ◯佐久間東京電力理事・青森事務所長  まず初めに、今回の福島第一原子力発電所におきまして、放射性物質を放出させるという大変重大な事故によりまして、青森県の皆様には大変な御迷惑、御心配をおかけしておりますことに対しまして、心より深くおわび申し上げます。  ただいまの質問でございますが、初動対応がどういう状況で行われたかということにつきましては、地震発生時に対応を指示した者や現場で操作を行った者を中心に約80名に聞き取り調査を行い、現場の対応状況について整理し、今月18日に公表させていただいているところでございます。  全電源を喪失してからの作業というのは、地震・津波の警報が出ている中、計器類が機能しないとか瓦れきが散乱する、明かりがない暗闇の中など非常に厳しい環境の中でできる限りの作業実施を試みましたが、時間を要したということでございました。  現場では、非常に厳しい環境の中での作業を進めてまいりましたが、それらに対応する評価・検証につきましては、社内に設置した社外有識者で構成される事故調査検証委員会へ報告し、詳細に調査・検証してまいりたいと考えております。また、国の事故調査・検証委員会に全面的に協力してまいりたいと考えております。  現在はまだ調査中でございますので、評価・検証結果につきましてはこの場で申し述べることができないことをお許しいただきたいと思います。 12 ◯阿部委員  保安院は、冷却、ベント等の措置が時間的におくれていったと、そういうことを述べられました。もちろん、全電源が喪失したというようなところの中で、東京電力では、あの現場で非常に一生懸命、命をかけてその作業に全力を投入しておった方々もいらっしゃるということは十分承知しています。やってこられたことについても敬意を表するところもあります。  しかし、原子力のこの問題というのは、もうこれだけはきちっとやっていくんだという三原則があったですよね──とめる、冷やす、閉じ込める。まあ、とまったというふうにはなっておりますけれども、その後の冷やす、これが、全電源──まあまあいろいろ経緯がありました。それから、閉じ込める──今、まさに閉じ込めができない、あの汚染を垂れ流している。そのもともとが、天災があって、そして、その対応方のところの中で──私は、初動体制がどうだったのか、それから、そういう向かっていくときの体制がどうだったのか。結局は、どこが一番──さっき、敬意を表すると言いました。しかし、一番の最前線で東電の方々が闘っているのは承知していましたけれども、それをサポートしたのは、自衛隊でもあったし、消防庁の皆さんでもあったし、米軍でもあったんですよ。ですから、この事故が起きればもう大変になるというようなところの中での対応方だったとは思うんですけれども、今現在もその閉じ込めができていない。冷やすための水かけが今でも続いていると言っている。そして、その後の汚染水の処置・処理なんというのをどうしたらいいかというのをまだいろいろ水かけ論をしている。  そういうような状況の中での──この件については私のほかにもまだ質問をしていくだろうと思いますので、そういうところの中で答えていただきたいと思いますけれども、まず、処置なしの状態で、低レベルの放射能水を海に放出する、まさに閉じ込めていない状況が今あるということを指摘しておきたいと思います。  浜岡原子力発電所の停止要請についてであります。  浜岡原子力発電所については運転停止を求めているが、安全上の問題なのかどうか、その理由についてお聞きしたい。  それは、安全上のことは保安院がきっちり点検しているだろうし、保安院がきっちりチェックして浜岡に許可を与えていると思うんです。ところが運転停止を求めたその理由、それは何なのかということでお聞きしたい。 13 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  浜岡原子力発電所の運転停止要請についての御質問がございました。  まず、浜岡原子力発電所の安全対策についてでございます。浜岡についても、ほかの原子力発電所と同様に、今回の福島第一原子力発電所事故を踏まえた緊急安全対策の実施を指示いたしました。そして、その結果、私どもの保安検査官が確認をしてございますけれども、浜岡原子力発電所についても十分緊急安全対策が適切に実施されているというふうに判断できたところでございます。  しかしながら、浜岡原子力発電所の立地場所といいますのは、想定東海地震の震央域に位置すること、それから、文部科学省の地震調査研究推進本部の地震調査委員会──これは政府の地震に関しますさまざまな評価、予測などを行う唯一の機関でございますけれども、ここの長期予測によりますと、30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震の発生する確率が87%ということで極めて切迫している状況になってございますし、さらに、この発電所の地理的な場所を見ますと、30年以内に震度6強の地震が発生する可能性が84%ということで、これはほかの原子力発電所が立地します場所と比べて際立って高い状況にあります。そういう意味では、特別な環境下にあると考えるところでございます。  こういう状況を踏まえまして、私どもの経済産業大臣、海江田大臣におかれましては、5月6日に現地視察を行って、その御報告を菅総理にされました。その際に総理とお会いした中でこの問題について御議論なされ、地震発生に伴います大規模な津波襲来の切迫を考慮し、苦渋の決断として、一層の安心のために措置が必要ではないかということで、総理とお話し合いをされまして、そういったことを踏まえながら熟慮を重ねた上で、国民の安全と安心を考えて、最終的には総理が決断をなされ、海江田大臣の名前によります運転停止要請に至ったという経緯のものでございます。 14 ◯阿部委員  だから、保安院では、八十何%の地震が想定されるとか、震度6以上の地震が84%以上あるんだというようなことがわかっておったにもかかわらず、あそこに許可を与えておったと思うんです。それで運転停止を求めたというようなことなんだけれども、停止要請は制度上停止を命じたものではないようだけれども、その法的位置づけというのか、停止要請・要望だから法的なあれではない、位置づけではないといえばそれでいいんだけれども、その法的な位置づけ、要請したあれというのは何だのって、もっときちっと言えないの。政治的なものであったとかなんとかと言えないの。 15 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  御指摘のとおり、今回の停止要請はいわゆる法律に基づく停止命令ではございません。法的な措置ではございません。あくまで、先ほど御説明いたしましたように、浜岡発電所の特有な事象、大規模な津波あるいは地震の襲来の切迫性ということを踏まえて、一層の安心の観点から、海江田大臣の名前によります行政指導という形で実施したものでございます。  もちろん、これは、先ほど申しましたように、総理と大臣が御相談されて、政治決断、政治判断をされたものと考えているものでございます。 16 ◯阿部委員  政治的な要請だったよね。あの当時のいろいろな報道を見ますと、中部電力の社長は、総理からの要請だった、要望だった、これは重いものだというようなあれで停止したんですよ。わかってるの、いろいろ。ただ、報道でないと我々はわからないから聞いているんだけれどもね。  そこで、仮に東通原子力発電所や再処理施設に対してそういう機関からの運転停止の要請があれば事業者はどういうふうに対応するのか、東北電力、それから日本原燃にお聞きしたい。
    17 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  ただいま、停止要請についての御質問ございました。これにつきましては、当社として、これまで、緊急安全対策、所要の対策を実施してまいりました。これにつきましても、国のほうに御報告いたしまして、国からは適切に実施しているという判断、御評価をいただいております。  仮に国から運転停止要請があった場合には、その内容をしっかりと検討いたしまして、お客様への影響が最小限になるように配慮いたしまして、当社として適切に判断してまいりたいと思っております。  以上でございます。 18 ◯川井日本原燃社長  お答えいたします。  まず、ぜひ御理解いただきたいことは、先日も御説明いたしましたけれども、当社の再処理施設は標高55メーターの台地にあるということで津波の影響は考えられないこと、そして、地盤も安定しておりまして、3月11日の地震におきましても、再処理施設内の建屋の基礎盤上における地震観測記録は、基準地震動に基づく設計値に比べて10分の1以下と十分に小さい値でありました。さらに、福島の事故を受けまして国から出されました緊急安全対策などの指示事項に対しましてもしっかりと対応してきております。したがいまして、停止要請が国から出される状況にあるとは我々は考えておりません。  ただ、万々が一停止要請が出された場合には、国から示される停止要請の理由をしっかりと検証させていただきまして、まずは、顧客、お客様──これは電力会社でございます。電力会社とも相談し、そして、何よりも地元県・村とも相談させていただいて適切に対応してまいりたいと考えております。ぜひ御理解賜りたいと思います。 19 ◯阿部委員  国からの要請は重いというようなことで、中部の社長さんはとめた。しからば、仮にそれが地方自治体の──原発立地県、あるいはサイクル施設の立地県である青森県の知事からそういう要請があった場合、まあ、答えは同じだと思うから──そういうことを聞きたかった。聞きたかったけれども、時間がないから前に進めます。  緊急安全対策についてであります。  3月30日、5月1日に緊急安全対策指示等々がありました。その中で、防潮堤等々今の津波の対応方のところの中で、防潮堤などの工事がまだまだこれから期間を要するはずなのに──例えば我が東通もしかりだ。まだ1メーターか1メーター50ぐらいかさ上げしなきゃならないというようなことが要されるのに、国が発電所の運転再開を求めてきている。それを、今、県は検証委員会を立ち上げてというようなことでしているんですけれども、まだそこをしっかりやっていないのにその再開を要請してきているという国のあれがちょっとわからぬのだけれども、手短に御説明できますか。  それから、同じく、これも我々は時間がなくてやっているので本当に手短にしていただきたいんですが、冷却のための水源として、極めて大容量のタンク類、さらには川や海水までがリストアップされておる。これら大量の冷却水をそこに投入して冷やすんだというようなことになっていった場合、その後処理──今、福島は後処理で困っていますよ。あの汚染水──水を突っ込んだのはいいけれども、その突っ込んだ水、汚染水をどういうふうにして処理していくんだかというような対策が──今回皆さんから指示されたその対策案の中に、水は投入する、そういうリストアップはしなさいというふうにいろいろ挙げさせられているけれども、その後の大量の水をどういうふうに処理していくんだということが示されていない。そういうところを手短に。 20 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、防潮堤の件についての御質問でございますけれども、今回の緊急安全対策の最大のねらいは、福島の事故と同様な事象、すなわち、すべての交流電源が失われ、原子炉災害に至る、こういうことを防止するための対策を行わせることがまず第一の主眼でございます。そのために、同じような事象──すべての交流電源が失われ、かつ冷却機能が失われた状態においても原子炉を冷却するための手順、資機材、体制を整備することがまず第一の主眼でございます。  で、今回の緊急安全対策におきましては、これらすべての原子力発電所で対策が完了していることが確認されております。すなわち、必要な安全性はこれによりまして確保されていると考えております。  さらに、御指摘の、津波を防ぐための防護対策、防潮堤等々でございます。これは、こういう緊急安全対策、必要最小限の安全対策を講じた上で、さらなる信頼性なり安全性の向上を図るための対策でございます。確かに、時間に関しては少し要するものでございますけれども、これは、まず原子炉を確実に冷やすという対策をやった上で、そうはいっても、さらにそういう設備が津波によって被災をしないように対策を講じさせるという中長期の信頼性向上のための対策であると御理解いただければと思ってございます。  それから、2つ目の水の問題でございます。  今回の緊急安全対策においては、まず炉心を損傷させないために冷却させるというのが一番の主眼でございます。残念なことに、福島第一においては、炉心が損傷した上に水を入れてございますので、極めて放射線レベルの高い汚染水が出ております。  今回の対策は、そういう炉心を損傷する前に水を供給いたしまして、さらに、ベント、あるいはPWRですと逃がし安全弁でその熱を逃がしていくという形をとってまいりますので、基本的にはそういう高レベルの汚染水が発生しない、あるいはそういうことが生じることのないように対策をするというのが大要でございます。  したがって、そういう御心配のような対策、さらに、炉心が損傷したらどうかということももちろん考慮に入れる必要は将来的にあるかもしれませんが、まずは炉心を損傷させないための対策として今回用意をしていると御理解いただければと思っております。 21 ◯阿部委員  再質する時間がなくなるわけさ。だから再質ができない。なので、あなたたちは助かる。  さっき言ったでしょう、3つ──とめる、冷やす、閉じ込める。あなたは今、冷やすだけのところを云々しているけれども、この原子力の安全対策はこういう3つだとあなた方は言ってきた。今、この冷やすことは言って、その水はかき集めろと言っている。それで、汚染されたものが外に出ていくということについては、今は、何にも、それでなく、まず冷やすことが必要だというようなことだ。違うでしょう、論点が。  安全対策の3つ、これはどれもみんな大事なはずですよ。冷やす──当たり前ですよ。それから、閉じ込める──閉じ込めることが今福島でできていないとさっきから何度も言っている。汚染水が海水に放されていっている。さっきの安全対策の中で、水、水源等を求めると。求めるのは結構だ。その後、その汚染されたものをどういうふうにしていくのかということが何にも示されていないから私は質問しているんですよ。だけれども、もう時間がないはんで、あとは県に聞きます。  知事、いろいろ答弁を聞いてきたと思います。そこで、まず第1にお聞きします。今回の福島の原子力発電所の事故は人災だと思いますか。 22 ◯三村知事  阿部委員にお答えいたします。  まず、スタート当初、これは非常に大きな地震・津波でございますから、いわゆる自然の現象の状況であったと思います。  そして、この原子力の場合、私どもがいつも申し上げておりますのは、規模、要するにシステムが大きければ大きいほど、常に安全ということ、これも、いわゆる想定外という言葉が今非常に言われているんですけれども、想定をさらに想定していくというんでしょうか、そういったこと等が非常に大切であったのではないかと思うわけでございます。もちろん、今検証中ということでございますから断定的にどうこう申し上げることは控えるべきだと思っておりますが、やはり、さらなる安全ということを人知をもってして尽くすべきものがあったのではないかというようなお答えになると思います。 23 ◯阿部委員  しかし、原発の立地県、それからサイクル事業をやっている立地県として、やはりきちっと言うべきことは言っていかなければならない。そういうところの中で、安全委員会の委員長が人災だと言っている。対応のまずさがあった、初動体制のまずさがあった、組織的にカバーできなかった、そういうことを人災だと言っているんですよ。ですから、知事としても、やっぱりきちっと──いいんですよ、人災でないんなら人災でない、人災なら人災と。しかし、今のところは言えないんなら言えないと言えばいいの。(発言あり)まあ、待でへ。時間なくなってまる。今こっちからメモが来てる、60分で終われって。  そこで、知事、知事は今までも、この原子力政策を進めるに当たって、安全なくして原子力なしと言ってきた。今回の本会議においても同僚のそういう質問があった。そして、その際も、安全なくして原子力なし、この姿勢はこれからも堅持していくと、こういうふうな答弁をしている。  しかし、もう既に、いろんな報道やら何やらで見ています。見ていると思うんですよ。原子力に対してはもう安全はないんだと言っているんです。だから、その安全度を高めていくというようなことのところにはあるけれども、完全安全というのはないんだということを言っているんです。だから、安全なくして原子力なしということになれば、もう既に後退しなければならない。安全を高めていくんだというようなこと云々のところの中で知事は述べているんだろうと思いますけれども、安全なくして原子力なしというようなことであれば、日本語的にいえば、この原子力を既にもう否定している、安全なくしてというようなことになれば、原子力そのものを否定しているような気がしてならない。だから、安全を高めていく、そういう原子力に対してはというようなこととか、このフレーズは変えたほうがいいんじゃないのかなと思う。 24 ◯神山委員長  質問ですか。 25 ◯阿部委員  質問、それをどう思うか。 26 ◯三村知事  阿部委員にお答えいたします。  御意見かと思ったので手を挙げませんでしたけれども、繰り返し申し上げますけれども、大きなシステムというものについては、システムが大きければ、万が一のときのいわゆるマイナス状況、要するに破壊される状況を含めて大きいわけでございますから、常に安全というものをさらにさらに強くしていくということが必要なわけでございます。これは、精神として、貫く精神として安全ということを念頭に置くという意味において、安全なくして原子力というものを進めてはいけない、そのことに最善を尽くしていくと。常に、想定──最近のはやる言葉で想定外とありますけれども、想定をさらにさらに想定していくというぐらいのことでやっていこうということが大切だと思っています。  繰り返しになりますが、やはり、安全ということが何よりも、原子力の世界、そして大きなシステムの中では重要だと、そのように考えております。 27 ◯阿部委員  検証委員会についてであります。  県が今独自に云々していますけれども、検証委員会は知事に答申を行う組織であるというふうに受けとめております。知事は、県議会の議論をどういうふうな──その検証委員会から出てきたそういうものの後、県議会への説明や質疑応答の場のあり方についてどういうふうに設けていくのか。  それと、今後、県として独自に責任ある立場で原子力行政を進めていくためには、独自の安全基準等々を設定する必要があるんじゃないかなと。そのための検証委員会なのかなというふうに理解しているんだけれども、その2点について、我々への説明や質疑応答の立場をどういうふうなふうにしてとらまえていくのか。  それから、独自の安全基準というものを設けていって、そのハードルを高くする、そういうことになるんだろうと思いますよ、安全を追求していく知事であれば、今のお話を聞けば。そういうところの中で見解を伺います。 28 ◯三村知事  まず前半の部分でございますけれども、これまでもいろんな場面で御答弁申し上げておりますが、この原子力安全対策検証委員会の検討結果につきましては、これを真摯に受けとめ、最大限尊重していきますとともに、県民の安全・安心を守る立場から、国及び事業者に対して言うべきことは言い、求めることはしっかり求めるなど厳しく対処してまいります。  その上で、県民を代表いたします県議会での御議論、あるいは地域住民を代表いたします市町村長の御意見、原子力政策懇話会での御意見、あるいは県民説明会における御意見、県内各界各層からの意見聴取における御意見等も踏まえまして総合的に判断する考えであります。  いずれにしても、この検証結果が出た時点で改めて県議会に御説明する機会を設けることが大事だと思っておりますし、県議会での御議論、御意見を踏まえた上で、慎重に、かつ総合的に判断してまいりたいと思っております。  後半部分でございますが、基準が何とかという話ですか。──基準ということでございますが、法的規制というものがこの原子力の世界においては非常に重要だと思っております。そしてまた、我々といたしまして、この検証委員会──法的には管理されませんけれども、このことによってしっかりと検証していくことが大切だと思っております。  以上です。 29 ◯阿部委員  まず、日本で原子力発電所を建設する際には、原子炉立地審査指針に基づいて原発をつくっていく。その指針にはこう書いてある。技術的見地から考えられる最悪の事故の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないことが求められる、こういうことが書いてあるんですよ。そのことを踏まえながら皆さん方は原子力発電所に対して認可等々を与えてきただろうし、使用前検査もきっちりやってきただろうと思う。  その一方で、原子力損害の賠償に関する法律──原賠法ですね、この法律をつくるとき、当時の科学技術庁の委託を受けた日本原子力産業会議が、日本の原発で起き得る事故被害の規模を試算したんです。そのときの最悪のケースは、死亡が720名、障害が起きる者5,000名、10万人の早期立ち退き等々、それから農業制限等々のいろんな災害において3兆7,300億円の損害が起きるという試算がされているんです。そのときの国家予算が1兆6,000億のとき、その3倍にもなるような損害が試算されている。  そういうことを踏まえて考えてみれば、つまり、日本の原子力発電政策は、当初から、どのような事態が起きても安全であるという、さっき知事が言っていた安全には安全をと。つまり、どのような事態が起きても安全であるという建前を掲げながら、万一の場合は破滅的な事故が起こり得るという本音の了解のもとに進められてきたというふうに考えられる。  そういうところの中で、今、この福島の原発の検証をしていきながら、しからば、知事が言っているどういう安全の輪を高めていく、強くしていく、そういうことをしていかなきゃならないのかというようなことがこれから進められていくと思います。  またこういう機会があったら質問に立たせてもらいます。ちょっとオーバーしましたけれども、質問をかわります。 30 ◯神山委員長  工藤慎康委員。 31 ◯工藤委員  阿部委員に引き続き質問してまいりたいと思います。  私からは、今回の原発事故を踏まえた国及び事業者の安全対策について。  今回の地震によって緊急安全対策指示が出ておるわけでございますけれども、本県には、先ほど阿部委員のお話にもありましたように、再処理施設と原子力発電所の両方が存在しております。その両方はそれぞれ設備的、基本的な部分が違っていると私は認識しておるんですが、それぞれに対してそれぞれの指示が出たと聞いております。  今回のこの指示を出すに当たって、それぞれの施設の特性に合った審査基準というものが明確に分かれているのかどうか、それを確認させていただきたいと思います。 32 ◯真先原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長  お答えいたします。  御案内のとおり、原子力発電所に対します緊急安全対策の実施状況の確認に係る審査基準についてですが、これは、津波により、3つの機能、すなわち、全交流電源、それから海水の冷却機能、使用済み燃料プールの冷却機能、これをすべて喪失したとしても、それらの機能を回復することを可能とするために必要な対策が適切に実施されているかを判断するというものでございます。  一方、再処理施設のほうでございますけれども、御指摘のとおり、原子力発電所とまず構造が違います。特徴も違います。したがいまして、その再処理施設の特徴を踏まえた審査基準を設定させていただいております。  具体的には、原子力発電所と大きく異なりますのは、再処理施設の場合、例えば放射性物質等がいわゆる溶液中に存在しておるということでございます。これが多くの貯槽に分散して保管されているということが特徴として挙げられます。したがいまして、それぞれの貯槽において放射線分解により水素が発生する、この水素濃度が可燃限界に達しないというのを個々にきちんと確認していくことが必要になります。  また、放射性物質の崩壊熱の除去も大事でございます。これにつきましても、非常に数の多い機器が再処理施設に存在してございますが、その中で、評価する対象として評価すべき機器が確実にきちんと評価のまないたに乗っかって評価されていること、このようなことを、まずちゃんと対象機器が抽出されていることを確認するとともに、その対象機器中の溶液の冷却を行うために必要な冷却機器が存在しておること、また、崩壊熱によって溶液が沸騰するまでの時間の評価が妥当であること、このようなことを個別に確認しているということでございます。  このように、原子力発電所の審査基準に対しまして、再処理施設としての特徴を踏まえた審査基準を設定させていただいているということでございます。 33 ◯工藤委員  それでは、私の地元には再処理工場がありますので、再処理工場のほうをメーンに質問してまいりたいと思っております。  まず、今回の御答弁の中にありました電源の関係、さきの報道によりますと、日本原燃さんにおいては電源車を本年3月に導入したということでありました。国からの緊急安全対策として電源確保に関する指示が出る前に発注していなければこの導入はあり得ないわけでありますけれども、日本原燃さんにおいてはどのような経緯で電源車の購入をすることになったのかお伺いします。 34 ◯川井日本原燃社長  御質問の電源車の配備につきましては、ちょうど4年前になりますか、2007年の7月16日に発生いたしました中越沖地震を受けまして、当社が自主的に購入して配備したものでございます。  なお、この中越沖地震を受けまして保安院のほうからの指示に基づいて実施したものにつきましては、例えば不整地走行用消防ポンプ車の配備、これは、大きい地震が起きますと、相当道路が損傷する、そういう損傷した状況の中でも走れるような消防ポンプ車ということで、これも配備をいたしました。それから、アクセス性確保のための周辺道路、これは再処理工場内の道路でございますが、これも補強せいということで補強したということでございます。  なお、こういった御指示に加えて当社独自に実施した取り組みにつきましては、例えば、重油タンクの油漏れの補強対策であるとか、あるいは変圧器の油漏れ補強対策であるとか、建屋間の渡り廊下の補強であるとかいろいろやっておりまして、結果として、保安院からの御指示も通じて実施したものも合わせまして、今、大体60項目について強化を実施しているところでございます。  以上でございます。
    35 ◯工藤委員  そうすると、中越沖地震の後に保安院のほうから改善の指示が出たということの認識でよろしいんですね。  それで、企業努力としてその指示以外にも約60項目の対策をとられたということでありますけれども、先ほど、施設の特異性に沿ったということで水素の話が出ました。再処理工場において、高レベル廃液や燃料棒の崩壊熱等の分解による水素の発生、そういうもの自体の素材の違いというのはあると思うんですが、基本的に、原子力発電所での熱と──再処理工場に搬入される燃料棒というのは十分に冷やされてから搬入されるという説明が以前にありました。今回のように、例えば再処理工場に搬入された燃料棒が、停電により、発生する水素の滞留防止機能や使用済み燃料等の冷却機能が喪失した場合、どのような事象がどれくらいの時間で発生するのかお聞きしたいと思います。 36 ◯大和日本原燃副社長  お答え申し上げます。  御質問を3点ほどに分けてお答えさせていただきますが、まず最初の、高レベル廃液から発生する水素の滞留防止機能が喪失した場合にはどうかというようなことでございますが、当社の高レベル廃液の混合貯槽の容量は25立米ほどございますが、タンクの中の上部の空間がおよそ1立米程度ございます。こういったところに放射線分解によって水素が滞留していくわけでありますが、その滞留防止機能が全くとまってからおよそ35時間程度で可燃、いわゆる燃える濃度に達すると、こんなふうに計算されております。  したがいまして、その緊急安全対策として、先ほど御議論がございました電源車からの給電によって、水素滞留防止のために必要な空気圧縮機の機能を回復することとしておるわけであります。  なお、先ほど御質問の中でも少しお触れになりましたが、当社での水素発生のメカニズムというのは福島の原子力発電所で発生した事象と大きく異なるものでございまして、福島の例では、燃料棒のジルコニウムと水が高い温度で化学反応するために大量の水素が発生するという事態でございましたが、当社では放射線分解によって徐々に水素が発生するということでございまして、その発生量はけた違いに小さいものであります。  例えば、福島の場合、爆発発生時に600ないし800キログラムというふうに言われておりますが、当社の高レベル貯槽(後刻「工場全体」に訂正)の場合では、1日に発生する水素量というのは百数十グラムということでございまして、当社の場合では福島の原子力発電所で起こったような状況にはならないと考えておるところでございます。  それから2点目、高レベル溶液の冷却機能が喪失した場合でございますが、これは、崩壊熱──放射性物質が崩壊していくときに熱に変わっていきますが、その熱によって溶液の温度がだんだん上がるわけでありますが、1日程度で溶液が沸騰に至ります。が、これにつきましても、緊急安全対策として、電源車からの給電によって必要な機能を回復することとしております。  これに必要な時間としては、夜間とか冬期とかといった状況も踏まえまして、余裕を見て16時間以内に対応することにしておりますが、実際に4月に実施した訓練では、電源車からの給電にかかわる作業を44分で実施できたという実績でございます。  3点目でございますが、使用済み燃料の冷却機能が喪失した場合には20日程度で使用済み燃料プールの水が沸騰に至るというふうに考えておりまして、さらにその後100日程度で燃料が露出するのではないかと想定しておりますが、対応をする十分な時間がございますので、緊急安全対策用としては、2日以内に消防車等による注水などによって、使用済み燃料が露出することがないように対応することとしております。実際に4月に実施した訓練では、使用済み燃料プールへの注水作業は約33分で実施できたという実績でございます。  当社としては、今後も、緊急安全対策が可能な限り確実に実施できますよう、訓練を積み重ねて、技能向上と習熟に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 37 ◯工藤委員  各事業者がこのような対策の指示を受けて取り組んでいる内容が恐らく国に対して報告されると思うんですが、各事業者の実施状況が適切か、適切であることが確認されたとした上で、万が一炉心損傷等のシビアアクシデントが発生した場合でも、迅速に対応するための措置の実施についてということで指示されたというお話でございました。  そこで、東北電力及び日本原燃でのその指示を受けての実施状況についてお伺いいたします。 38 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  今ございましたシビアアクシデントにかかわる対応状況について御説明させていただきます。  当社は、緊急安全対策によりまして、津波により全交流電源などの重要な安全機能が喪失したとしても炉心損傷などの事故には至らないといった対策を講じてきております。さらに、今御質問にございましたシビアアクシデント──万一のそういった炉心損傷に至るようなシビアアクシデントに対しても迅速に対応できるようにという対応措置を講じてまいりました。  で、事故収束に向けた活動に迅速に対応できるといった点で5つの措置をまとめております。  具体的に申しますと、1つ目は、すべての全交流電源を喪失したときにおいても、中央制御室の作業環境を確保するために、電源車からの電力供給によりまして、中央制御室の非常用換気空調設備を運転可能とする措置を講じました。  2つ目でございますが、構内作業の円滑化を図るということから、すべての交流電源を喪失した場合においても、電源車などから電源供給いたしまして発電所構内の通信手段を確保するということをいたしました。  3つ目でございます。事業者間における相互融通を含めまして、高線量対応防護服──いわゆる遮へい機能を持った防護服、それから個人線量計の資機材といったものを確保し、また、緊急時に放射線管理を行うことができる要員を拡充するための社内応援体制といったところも整備いたしました。  4つ目でございますが、炉心損傷などにより生じました水素が原子炉建屋に多量に滞留するといったことが考えられますので──シビアアクシデントの場合はそういったことが考えられますので、それを防止するための措置も講じました。  5つ目でございます。津波により生じた瓦れき、そういったものを迅速に撤去するためのホイールローダー──重機を配備いたしました。  これら5つの措置を講じましたけれども、高線量対応防護服については7月末までに配備する予定でございますけれども、その他のものについては既に対応を完了してございます。  また、原子炉建屋の水素滞留の防止につきましては、今、穴あけ機というようなもので天井といったものを措置しておりますけれども、より迅速な対応が可能となるように、水素検出器、建屋ベント装置の設置というのも計画してございます。  以上でございます。 39 ◯中村日本原燃理事・再処理事業部再処理計画部長  当社の対応状況について御回答申し上げます。  当社では、シビアアクシデント対応につきまして、今月15日、ただいま東北電力さんにありました水素爆発の防止を除く4項目について指示をいただいております。国へは22日に対応策について報告して、23日に立入検査を受けたというところでございます。  まず、指示の1点目は制御室の環境の整備・確保でございますが、もともと外気の取り入れ口に高性能粒子フィルターをつけ、清浄にする設計になっていますので、緊急時には電源車の電力に余裕があることから、制御室の換気、空調設備にもこの電力を供給することにしました。さらに、念のために、沃素除去フィルターを本格運転開始までに追加することといたしました。  そもそも、再処理施設で沃素の放出を伴う事故は臨界事故だけでございますが、安全審査のときに、制御室の運転員の被曝線量が極めて小さいことから設置の必要がないと判断していましたが、今回、念のために設置することにいたしました。  2点目の指示は所内の通信手段の確保ですが、これについては、通常使用していますPHSなどの社内通信設備を緊急時も活用するということで、これに必要な電力を確保するために、7月末までに可搬式の発電機を準備することといたしました。  それから3点目は、高線量の対応防護服の準備でございますが、既に鉛入りの防護服を40着ほど用意してございますが、さらに8月末までにタングステン入りの防護服10着を準備します。これらの装備につきましては、電力各社さんと相互に融通し合うことを確認してございます。  4点目は瓦れきの撤去でございますが、既にホイールローダー──除雪車でございますが、これをサイトに配備いたしました。  以上が当社の実施状況の主要点でございます。  なお、先ほどの大和からの答弁で、高レベル廃液からの水素の発生量ということで百数十グラムと申し上げましたが、これは工場全体で百数十グラムということでございますので、訂正させていただきます。  以上でございます。 40 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  私ども保安院におきます確認状況について御報告いたします。  まず、緊急安全対策は、既に御議論がありましたように、3月30日に指示した後に、立入検査などによりまして5月6日にその実施状況を確認してございます。その後、7月にも電源対策の信頼性向上対策も幾つかやってございますが、これらについても確認を終わっております。  それで、今御質問がありましたシビアアクシデント対策でございますが、これは6月7日に指示をいたしました。まさに福島の第一原発で炉心損傷というシビアアクシデントが起きている状況で、いろいろな懸命の作業が実施されておりますが、そこで大きくなりました課題、すなわち、高い線量下におけます作業をいかに円滑化させるか、それから、水素爆発がございましたので、そういったものをいかに防止するかと、こういう観点から、シビアアクシデントの防止対策ということで6月7日に指示をしたものでございます。  それで、原子力発電所につきましては、先ほど東通の原子力発電所から御報告がありましたように、5項目について指示をいたしまして、これに対しては6月14日に報告を受けて、その結果を私どもの検査官が立入検査によりまして確認いたしまして、そして、6月18日にはすべての原子力発電所の対応状況を確認し、適切に実施されているという評価を行ったところでございます。  それから、再処理施設につきましては、6月15日に同様に指示を行いまして、6月22日に報告書の提出があったところでございます。23日に再処理事業者に対しまして立入検査を実施しておりまして、その結果を踏まえて、報告書の内容について現在確認を行っているところでございます。  いずれ、この評価を取りまとめた上で、保安院としての評価結果を公表したいと考えておるところでございます。  以上でございます。 41 ◯工藤委員  次へ参ります。  今回の地震発生以前に、福島県沖から北海道にかけて7から9クラスの地震、今回の震災・地震発生後は、三陸沖からから十勝・根室沖ぐらいの範囲の中で5から8程度の地震が起きる可能性があるといまだに言われております。  今回の地震について、再処理工場においては基準地震動の10分の1以下ということでございましたけれども、これが近くの震源になるとまたさらに条件が変わってくるわけでありまして、国や各事業者において、施設に対する想定地震動を今回のこの発生する可能性があるという部分において見直す考えがあるのかお伺いいたします。 42 ◯真先原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長  お答えいたします。  六ヶ所の再処理施設など青森県内に立地されている原子力施設につきましては、これまで、想定される地震に耐え得る耐震設計に係る評価がなされており、国においても安全審査を通じてその耐性を評価してきたところでございます。  しかしながら、今回の地震を踏まえまして、必要に応じ、各地の観測記録や分析及び評価を新知見として受けとめ、原子力施設のより一層の安全確保のため、耐震安全性の評価に反映していくことが重要と考えてございまして、予断を持たずに安全の確保を検討してまいりたいと考えているところでございます。  なお、御案内のとおり、六ヶ所再処理施設につきましては、3月11日の地震の際に観測された震度は震度4で、加速度も37ガルということで、今般の地震に関しましては地震の観測としては大変小さなものであったということではございます。しかしながら、一般的な知見として受けとめて、予断を持たずに取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。 43 ◯齋藤日本原燃理事・再処理事業部土木建設部長  お答えいたします。  当社の再処理施設及び特定廃棄物管理施設における基準地震動でございますけれども、これは、改定された耐震設計審査指針に基づきまして設定しております。この地震動につきましては、原子力安全・保安院並びに原子力安全委員会におきまして長期にわたり御審議いただきまして、昨年の12月に妥当ということで審議が終了いたしております。  この対象となる私どもの再処理施設及び特定廃棄物管理施設におきましては、敷地前面の海域に想定三陸沖北部の地震というマグニチュード8.3の地震を考慮して評価を行っておりまして、その評価にさらに余裕を考慮して設定した基準地震動に対して施設の安全性を確認しているということでございます。  なお、三陸沖から十勝沖の海域において将来発生するとされている地震につきましては、専門家の先生方などによる検討結果を踏まえて、さらに新たなる知見が得られましたら、その際には適切に対応を行いたいと考えております。  以上でございます。 44 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  基準地震動の見直しについて御説明させていただきます。  東通原子力発電所の耐震設計におきまして、この基準地震動につきましては、改定された耐震設計審査指針に基づき策定されております。  具体的に申しますと、敷地前面の海域に想定三陸沖北部の地震を考慮して評価を行っておりまして、その評価結果に余裕を考慮して設定した基準地震動に対して施設の安全性を確認しているということでございます。さらに、発電所におきましては、安全上重要な設備に対して耐震裕度向上工事──裕度をさらにふやすといった工事も実施しております。  現在、内閣府の中央防災会議では、今回の地震を踏まえた海溝型大規模地震の再評価を実施しているというふうに聞いております。こういったところから地震に関する新たな知見が得られましたら適切に対応してまいりたいと思っています。  以上でございます。 45 ◯林電源開発常務執行役員・大間現地本部長  電源開発の林でございます。  大間原子力発電所では、平成18年に改定されました耐震設計審査指針に基づきまして、敷地周辺の地域特性を十分考慮して、耐震設計の基準となります地震動であります基準地震動を設定いたしまして、この地震動による力に対しても安全機能が保持されるように施設の設計を行ってきております。  今後も、新たな知見が得られれば、その内容を検討し、必要があれば適切に反映いたしまして、より安全な発電所としてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  以上、回答を終わります。 46 ◯田中リサイクル燃料貯蔵建築技術担当部長  お答えいたします。  中間貯蔵施設の基準地震動の作成に当たりましては、東北地方太平洋沖のプレート間で発生する地震といたしまして、敷地東方の沖合にございます三陸沖北部の場所にマグニチュード8.3の地震を考慮してございます。基準地震動は、この想定三陸沖北部の地震の評価に余裕を考慮して設定してございます。  現在建設を進めてございます中間貯蔵施設は、この基準地震動に対しまして余裕を持った耐震設計を行ってございますことから、三陸沖や十勝沖に発生する可能性のある地震に対しましても耐震安全性を確保できるものと考えてございます。  なお、三陸沖から十勝沖の海域に将来発生するとされております地震に関しましては、専門家の先生方による検討結果を踏まえ、新たな知見が得られた場合には適切に対応してまいりたいと考えてございます。  以上でございます。 47 ◯四方東京電力東通原子力建設所長  東京電力の建設所の四方でございます。  東京電力の東通1号機では、敷地に大きな影響を与えると考えられる地震を複数選定しまして、最大でマグニチュード8.3という想定三陸沖北部の地震を考慮しております。  東京電力1号機では、平成18年に設置許可の申請をいたしまして、平成22年、昨年の12月に許可をいただいております。この中で、耐震設計で用いられます地震動につきましては、平成18年に改定されました発電用の原子炉施設に関する耐震設計審査指針に従って設定しております。  また、今回の地震を踏まえまして、現在各機関で行われております新しい知見の反映というものの検討を注視しまして、新たな知見が得られた場合には適切に反映していく所存でございます。  以上でございます。
    48 ◯工藤委員  なぜこういう話をしたか。我々がふだん生活している中でも100%の安全というのはないんです。ですから、基準をどこに持ってくるかによって受ける感じも全く違いますし、我々の心構え、備えも変わってくるわけなんであります。  したがいまして、これから一般的な生活を送るに当たってそういった心配が生じないような数々の安全対策が講じられる必要があると考えます。きちんとしたその基準を明確にしていただいて、どの程度のリスクがあるのか、そのリスクを含めた説明をきちんと責任を持って説明していただきたい。今後において、そういった今回の事故につながったようなヒューマンエラーがないように対策を講じた上で、またきちんと説明をしていただきたい、そのように思います。  今問題になっていることがございまして、今後の電力の供給についてであります。  今回の福島の原子力災害によって、世界で脱原発の動きが非常に大きくなっております。新エネルギー推進の主張が盛んになってきている中で太陽光や風力等が挙げられておりますが、太陽光や風力などの自然エネルギーに関して電力の供給が安定しているとは言えないように私は見受けるんですが、新エネルギーの可能性と限界について国の認識をお伺いします。 49 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  お答え申し上げます。  今、新エネルギーの可能性と、ある意味では限界がどのようなところにあるかというので、我々の認識でございますが、まず可能性ということについて言えば、太陽光を初め再生可能エネルギーというのは、燃料が要らないということもあり、エネルギーの安定供給の確保という意味ではプラスになり、また、CO2が出ないという意味での地球温暖化対策にもなります。そういう意味では、そうしたエネルギー面のことに加えて、あと、環境関連の産業とか雇用といったような地域の特色の活用という意味での観点からもプラスの面がございます。  ただ、一方で、現時点ではやはりコストが高いと。例えば太陽光発電は、コストはだんだん下がってきてはおりますが、やはりまだ火力発電と比べて6倍から7倍とか、それぐらいのレベルにございます。それと、今の再生可能エネルギーというのは非常に量が少ない状況なんですが、これをどんどん大規模に大量に導入する場合には、電柱の上にありますけれども、柱上の変圧器というものをふやさなければいけないといったような電圧の上昇対策とか、それから、蓄電池の設置といったような、出力を逆に抑制するような余剰電力対策といったものも必要になってくるだろうと考えております。  そういった可能性あるいはプラスの面等、それから課題を踏まえながらではございますが、経済産業省として、この再生可能エネルギーについて、現在、固定価格買い取り制度の導入というのを進めておりますし、また、実際に施設を建てる場合には立地に関するいろいろな規制がありますが、それを見直したり、それから、革新的な研究開発あるいは系統安定化対策──先ほど申し上げましたが、こうしたものを講じながら、導入の拡大に向けて最大限取り組んでまいりたいと考えております。 50 ◯神山委員長  越前委員。 51 ◯越前委員  自民党の越前陽悦でございます。私のほうから順次質問をさせていただきます。  まずは、青森県並びに私が住むむつ・下北、上北は、原子力立地地域として、今までも、地域住民の理解を得て、安全確保を第一義に、そしてまた国策として進めてきたところでありまして、今回の福島第一原子力発電所の事故についてはまことに遺憾であるというふうに思っているところであり、これから順次、それを旨として質問をさせていただきます。  第1点、東京電力が作成いたしました福島第一原子力発電所事故の収束に向けた工程表については、これまでの収束作業においてさまざまな課題が新たに見つかったため、6月17日に見直しを行っているところでありますが、目標達成時期は変更されていないところであります。工程表どおり目標が達成できるとすれば、その達成できる根拠はどこにあるのか、まず第1にこの点についてお尋ねをいたします。 52 ◯佐久間東京電力理事・青森事務所長  東京電力の佐久間でございます。  4月17日に公表した福島第一原子力発電所事故の収束に向けた道筋につきましては、5月17日、1カ月後の取り組み状況を公表しまして、その後6月17日に、さらに1カ月経過後の取り組み状況について公表いたしております。  この事故の収束に向けた道筋では、当面の目標を2つのステップに設定し、ステップ1として、放射線量が着実に減少傾向になっていること、ステップ2として、放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていること、これを目指しております。  これらの目標の達成時期については、ステップ1につきましては、4月17日公表から3カ月程度、ステップ2については、その後の3カ月から6カ月程度で達成したいと考えております。  これまでの取り組みの結果、新たに対策の追加等は生じたものの、当初のステップ1、ステップ2で達成すべき目標時期については、今のところ変更はございません。  現段階における進捗状況につきましては、安定的な冷却に向けて、汚染水をふやさずに原子炉内の熱除去に必要な量の注水を行うための循環型汚染水浄化装置を稼働し、除染を開始したところでございます。  当社といたしましては、ステップ1は予定どおり来月7月には完了させたいと考えておりまして、発電所の安定化と事故の収束を目指して、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 53 ◯越前委員  ただいま東京電力からの意見を伺ったわけでありますが、引き続きまして原子力安全・保安院にお尋ねいたします。  福島原子力発電所事故後、事故の収束が行われようとしておりますが、収束どころか、現在の状況というのは、収束の見通しがつかないというふうな状況の中で──つかないと思っているのは国民ですよ。そういう中で、被害が拡大しているというのも現実であります。  したがいまして、収束に向けまして国としては今後具体的にどのように取り組んでいくのか、この点について原子力安全・保安院にお尋ねをいたします。 54 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  福島第一の事故収束、これは最大限努力してやらなくてはいけないことは御指摘のとおりだと思っております。  それで、私ども政府といたしましては、まず、事故の発生した直後から、総理を本部長といたします原子力災害対策本部を設置いたしまして、政府を挙げて最大限の対策を講じております。  特に、今御指摘の事故の収束という観点からは、東京電力と政府が物理的にも一体となります福島原子力発電所事故対策統合本部というのを3月15日に設置し、そして、現在、5月9日以降は統合対策室という名前に変えてございますが、政府側と東京電力側がこの事故の収束に向けて一体的な対応を行っていくということで今現在取り組んでいるところでございます。  そういう意味では、一体的な対応を迅速化することによって、御指摘のようにさまざまな問題が出てまいりますので、それぞれに対して的確に判断をし、対応をし、特に安全の面からはこれをしっかり確認する必要がございますので、そういう対応を今現在やっているところでございます。  それで、進捗状況につきましては、先ほど東京電力から御説明があったとおりでございます。現在、ロードマップあるいは道筋というふうに呼ばれているものでございますが、これはステップ1とステップ2と大きく2つに分かれておる…… 55 ◯越前委員  その点については了解しましたので、よろしいです。 56 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  はい。では、以上でございます。 57 ◯越前委員  そこで、再度原子力安全・保安院にお尋ねいたしますが、事故収束に向けましてこれまで打ち出された対策については、事業者が作成した対策を国が評価するという形になっているわけでありますけれども、国が率先して対策を立て、そしてまたその責任のもとに事業者を指導するということも必要であるというふうに私は考えております。そこで、国の見解をお伺いいたします。 58 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  政府としても、この問題について主体的に取り組むという観点から、先ほどもお答え申し上げましたように、統合対策本部あるいは統合対策室というのをつくりまして、東京電力と一体となって、国としてどうやるべきかということをしっかり指導的な立場で対応しているところでございます。  先ほどのロードマップなどにつきましても、政府側といたしまして、その進捗状況をきちっと評価いたしまして、その対応がきちっとできるかどうか、あるいは、そのための支援あるいは安全面における評価といったことにしっかり取り組んでまいりまして、確実にこの事故収束が行われるように取り組んでいきたいと思ってございます。 59 ◯越前委員  この事故が発生してから、この事故に対しての国民の願い、我々の願いは、まさに、この事故をいかに早く、一日も早く収束させるかということが第一の目標であり、課題であったわけであります。  そこで、今の答弁を聞いておりましても、じゃ、今までの対応というのは何だったのかと。これから対策を講じていくのは当たり前の話ですよ。当然のことなんですよ、これは。  そこで、お尋ねいたします。今度は東京電力にお尋ねいたしますが、東京電力は福島第一原子力発電所の1号機から4号機を廃炉にするとの方針を発表しておりますけれども、具体的には何をどのように行うのか、この点について東京電力にお伺いをいたします。 60 ◯佐久間東京電力理事・青森事務所長  東京電力の佐久間でございます。  福島第一原子力発電所1号機から4号機につきましては運転終了ということにしておりまして、まずは、先ほど申し上げましたように、福島第一1号機から4号機は、現在、安定的な冷却に向けて取り組んでおるところでございますが、最終的には冷温停止状態という形に持っていくために全力で取り組んでまいりたいと考えております。  原子力発電所の廃炉につきましては、原子炉等規制法において、事業者が廃止措置計画を作成し、それについて経済産業大臣の認可を受けること等が義務づけられております。今後、廃炉に向けたこれらの手続の時期と内容につきましては、国からの御指導をいただきながら具体的な手続を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 61 ◯越前委員  そこで、引き続き関連した質問を行います。  原子力安全・保安院にお尋ねいたします。事故を起こした原子炉の廃炉については大変重要な課題でございますが、これまでの対応は、まさにだれが見ても後手後手の対応だというふうに思っております。国民に多大なる不安を与えてまいりました。まことに残念です。  そこで、国は、国としての責任、そしてまた国としての役割をきちんと果たしていくべきだ、果たすことが重要である、そのようにだれしもが考えておりますし、私もそのように考えております。国は、国としての責任と役割をどのように考えているのか、原子力安全・保安院にお尋ねいたします。 62 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  越前委員からのお尋ねの件でございますが、先ほど山本からは安全サイドからの取り組みについて申し上げたところでございます。むしろ、この廃炉につきましては、もう少し制度的なこと、それから、今回の廃炉は通常の廃止措置と違って技術開発等も伴うものであろうことから、国としての支援も必要であると考えております。  先ほど東京電力からの答弁にもございましたが、まず一義的にはこれは事業者が行うことではございますが、国としては、まずはこの今の事故の収束に全力を挙げるということではございますが、加えて、この廃炉については、制度的なさまざまなものを今検討しております。こうしたものの整備、それから、福島第一発電所の廃棄物にはどのようなものがあって、放射線レベルがどのようなものであるか、そうしたことをまず調べること、それから、そこで必要となる研究開発、技術開発等についても国として必要な支援を行ってまいる所存でございまして、既に今年度からの着手に今準備をしているところでございます。 63 ◯越前委員  今までの他国の事故でも、廃炉した事例を見ますると、廃炉後の対策は、大変重要な課題として、解決されず、今なお住民・国民に不安を与え、その対策が引き続き求められている現状にあることは御案内のとおりであります。  ただいま保安院からは、これから制度的なことを検討していくということでございましたけれども──エネルギー庁です。失礼しました。訂正いたします。制度的なことを検討していくということでありましたが、これについては大変重要な課題であります。しっかりとした工程、作業手順、計画のもとに、我々、今後、孫の時代まで二度と原子力によって不安を抱くことのないような対策をしっかりと講じていただきたい、そのために具体的な取り組みをひとつお願いしておきたいと強く要望しておきます。  そこで、再度東京電力にお尋ねいたします。東京電力は、福島第一原子力発電所において発生しております高濃度汚染水の処理システムの本格運転を6月17日から開始したとのことでありますが、処理後に発生する高濃度の汚泥についてはどのように処理する方針であるのか、この点についてお尋ねいたします。 64 ◯四方東京電力東通原子力建設所長  いわゆる循環冷却システムにつきましては、トラブルが頻発しておりまして、皆様に御心配をおかけして、まことに申しわけございません。  それで、6月28日、昨日、本格運転を開始しておりまして、処理システムから発生します、今御質問にありました高濃度の汚泥につきましては、当面は福島第一原子力発電所の構内に一時保管する予定でございます。  将来的な処理・処分方法についてはまだ未定ではございますが、現在までのいろいろな研究成果等を今後も検討してまいりまして決定してまいりたいと思います。その処理に当たっては、安定化して処理をしていくということで考えております。  以上でございます。 65 ◯越前委員  時間がないので続けて質問いたしますが、東京電力に再度お伺いいたします。  収束作業において、これまで作業員8人が緊急時の線量限度を超えて被曝していたとの発表がございました。これは報道されているところでございますが、なぜ被曝線量を適切に管理できなかったのか、これまでの放射線管理の体制と、今後の対策についてはどのように考え、どのように対策を講じていくのか、この点についてお尋ねいたします。 66 ◯四方東京電力東通原子力建設所長  福島第一原子力発電所の事故当時の現場では、大変巨大な津波に襲われまして、それによって非常時の電源がなくなってしまう、さらに、夜間になりまして過去に経験のない事態が発生したということで、このような状況におきまして、関係者一同、事態の収束に全力で取り組んでまいりましたが、その中で、事故時の放射線の管理体制──管理が適切に実施できなかったということで、大変申しわけございません。  今後は、これまでの発電所の放射線管理の体制にのっとったやり方だけではなく、過酷な事故──今回のような過酷な条件下でも作業が十分管理できるようなことを考えまして実施していきたいと思います。  また、事故発生時の緊急時の体制のみならず、今福島第一の現場でやっております作業──非常な高線量下の作業でございますが、このような放射線管理につきましては、工程表の見直しの中にもお示ししましたように、作業前のサーベイを充実して作業時間を厳しく管理するなど、その体制を強化していきたいと考えております。  以上でございます。 67 ◯越前委員  そこで、原子力安全・保安院にお尋ねいたします。  放射性物質の汚染が周辺地域に拡大し、被曝による健康への影響に対する不安が高まっておるところでありますが、周辺住民のスクリーニング(汚染検査)の状況や外部被曝線量の低減対策についてはどのように考え、どのように対策を講じていくのか、その点についてお尋ねいたします。
    68 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  この被曝での健康影響の調査についてでございますけれども、まず、この事故発生直後、避難区域というのを設定いたしまして、順次、3キロ、10キロ、20キロという形で拡大いたしました。そして、この20キロ圏内におられた住民の方々が避難をされてきたわけでございますけれども、まずこの方々の調査を実施いたしました。これはスクリーニング調査と呼ばれているものでございまして、6月25日までに約20万6,000人を対象として実施いたしました。  この判断基準は、放射線の計測器によりまして、1分間当たり10万cpm──これは10万カウント・パー・ミニッツということで、1分間当たり10万カウント以下というのを一つの除染の目安にしてございまして、この判断にしております。  この20万6,000人のうち10万cpmを超える人はほとんどおりませんで、そのうち約100人この10万cpmを超えた方がおられましたが、除染を行いまして、問題のないレベルに低下していることを確認しております。  それからもう一つは、特に放射線の感受性の高い小さなお子さん方への健康影響という観点から、3月24日から30日にかけまして、飯舘村、あるいは川俣町、いわき市におきまして甲状腺の被曝線量の調査を行いました。ゼロ歳から15歳までの計1,083人のお子様を対象にいたしまして調査を実施しましたところ、原子力安全委員会が定めておりますスクリーニングレベルを超えるお子さんはおられなかったということで、被曝の問題はないと考えてございます。  それで、御指摘の今後の被曝線量の低減対策ということでございます。現在、土壌などの放射線量の高い飯舘村その他につきましては、計画的避難区域という形で設定をいたしまして、計画的に避難を実施いただいているところでございます。で、こういう放射線に関しますさまざまな情報提供──どういった点に注意をしなくちゃいけないのか、あるいは飲料水の問題、食べ物の問題等々につきましては、さまざまな形で、国、それから自治体、さまざまな関係機関から情報提供いたしまして、放射線被曝の影響がないような過ごし方、あるいはその対応につきまして情報提供を行いながら、そういう被曝の低減、あるいはそれを回避する対策を現在進めているところでございますし、今後も強化していきたいと考えているところでございます。 69 ◯越前委員  そこで、再度原子力安全・保安院にお伺いしますが、この福島第一原子力発電所事故によりまして多大なる風評被害が今出ているのは御案内のとおりであります。福島県周辺地域のみならず、青森県もそうでありますが、日本各地で発生しているところであるわけであります。まさに農水産物が売れないと。また、被災地でつくったものは売りたくても戻される、受け付けないというふうな事象が今出ております。  そこで、国は正確かつ速やかな情報発信によって風評被害の防止に努めるべきだと私は考えます。これまでの対応への評価と今後の対応方針についてお尋ねいたします。 70 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  風評被害につきましては、委員御指摘のとおり、情報を迅速かつ正確に伝えることがまず第一の基本だと思ってございます。  これまでも、事故発生後、さまざまな環境モニタリング──これは、土壌、食べ物、飲み水といったものの調査を行い、放射線レベルはどうであるかと。もちろん、必要な場合には食物の摂取制限とか出荷制限というのは実施してございますけれども、一方で、そのレベルのもと、モニタリング調査を継続いたしまして、解除できるものであるかどうかといったところも明確にして、その情報提供をやっているところでございます。  したがいまして、風評被害の観点からは、こういう環境データ、あるいは今の事故の状況はどうなっているかを、正確にかつわかりやすく、丁寧にかつ回数も多くやっていくことが非常に大事だと思ってございます。  そういう意味では、私ども、東京のみならず、現地の対策本部というところにおきましても、こういう広報活動、正確な情報提供、あるいは各種の相談事業といったことを適切に実施しているところでございますが、さらに、御指摘のように、風評被害が生じないようにしっかりと対応していきたいと考えてございます。 71 ◯越前委員  農水産物については、青森県も、三村知事を先頭に、攻めの農林水産業にしっかりと具体的に、かつ積極的に取り組んできたところでありますし、この事故によって、この青森県のみならず、被災地の県も、つくったものが売れないとなるということは大変死活問題であります。そういう意味におきましては大変重要な課題でありますから、しっかりとこの点については、ただいまも申しましたように、これらへの対応の評価、そしてまた、これからのこの風評被害の防止、情報発信ときちんと正確に伝えるということが非常に重要だと考えますので、その点についてはしっかりと取り組んでいただきたいというふうに強く要望しておきます。  そこで、東京電力に再度お伺いします。福島第一原子力発電所の事故に際しましては、海水注入の判断のおくれが事故の拡大につながった可能性が大きいと私は考えております。この海水注入については、いつ、だれが判断したのか、また、事故対応マニュアルはどのようになっているのか、この点についてお尋ねいたします。 72 ◯四方東京電力東通原子力建設所長  事故当日の東京電力の発電所の中での初動対応につきましては、現場対応を行った者からの聞き取りの調査等によりまして、整理して、6月18日に公表しております。  当社は、淡水の量には限界があるということを認識しておりまして、淡水注入と並行して、海水を取り入れる取水場所の検討とか、消防車の配置見直しとか、ホースの引き回しとか等々といった海水の注入に切りかえる検討・準備も行ってきておりました。  1号機につきましては、3月12日14時54分、発電所長が原子炉への海水注入を実施するよう指示いたしております。  緊急マニュアルにつきましても、シビアアクシデントに至るような厳しい事象・事故が想定される場合には海水を注入するよう定められております。  以上でございます。 73 ◯越前委員  海水注入の判断、それから事故対応のマニュアルについてはしっかりと取り組んでいただきたい。強く要望いたします。  最後の質問であります。  以前、原子力・エネルギー対策特別委員会におきまして、原子力安全・保安院を経済産業省から分離独立させ、安全チェック体制を強化させるべきというふうに私はこの席で何度か提言をいたしてまいりました。  6月7日に公表されました福島原子力発電所の事故に係るIAEA閣僚会議への日本国政府の報告書に、原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会や各省も含めて、原子力安全規制行政や環境モニタリングの実施体制の見直しの検討に着手することが盛り込まれております。国は今後どのような方向性を持って検討を進めていくのか、この点については資源エネルギー庁にお尋ねをいたします。 74 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  お答え申し上げます。  今引用のございましたIAEA閣僚会合に提出されました報告の中では、まず、教訓の部分として、原子力安全確保に関する行政組織が分かれており、責任の所在が不明確、そして、今回のような大規模な原子力事故に際して、力を結集して俊敏に対応する上で問題があったといった、この教訓の上で、今御指摘のような見直しの検討に着手することと指摘されております。  それから、IAEAの報告とは別になりますが、6月7日に発足いたしました政府の事故調査・検証委員会において、独立した立場から、今回の事故の原因究明、そして関係行政組織のあり方も含めた包括的な調査・検証が行われ、政策提言が行われるというふうに予定されております。  2つのこうした大きな方向がありますので、これらを踏まえながら今後の検討がなされると認識しております。  以上でございます。 75 ◯越前委員  ありがとうございました。終わります。 76 ◯神山委員長  午さんのため暫時休憩いたします。 ○休 憩  午後 0時18分 ○再 開  午後 1時20分 77 ◯丸井副委員長  休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  渋谷委員の発言を許可いたします。──渋谷委員。 78 ◯渋谷委員  それでは、福島第一原子力発電所事故を踏まえての対応についてお伺いいたします。  電源喪失時における対策については、東北電力及び日本原燃株式会社は今回の緊急安全対策の中で訓練を実施しておりますが、短時間で処置する必要があることから、抜き打ち訓練や深夜における訓練を実施するなど実効的な訓練を行う必要があると思いますが、どのように考えておりますか。 79 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  今の訓練についての御質問に御説明させていただきます。  福島第一原子力発電所の事故を踏まえまして、全交流電源を喪失した場合には、短時間で代替電源を確保して炉心への注水を継続させることが非常に重要と考えております。  このため、電源車のつなぎ込み訓練、消防車による代替注水訓練、水源確保訓練などの個別の訓練を実施いたしました。また、総合訓練もいたしまして、手順や作業時間など実効性を評価して確認をしたところでございます。また、運転員の事故時対応を上げるためにシミュレーター訓練──シミュレーターを用いた訓練、また、電源車接続訓練及び消防車の訓練などは定期的に実施しております。こういうことによりまして、力量の確保、実効性の確保に努めております。  さらに、緊急時安全対策の訓練のみならず、毎年、自治体と連携させていただきまして、通報、住民避難、汚染検査を含めました原子力防災訓練を実施しております。今後、夜間や冬期における訓練についても実施して、さらなる実効性の向上に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 80 ◯川井日本原燃社長  これは御指摘のとおりだと私は思っておりまして、実は、4月21日に訓練を実施しました。これは、再処理本体のほうには電源車で電気を給電をする、それから使用済み燃料プールのほうにつきましては、水源から消防車と可搬式消防ポンプを使って注水をするということで、午前中もちょっと御説明しましたが、44分かかりました。  ただ、これでよしとは考えておりません。御指摘のとおり、今後の課題は、夜間であるとか厳冬期──冬場ですね──に本当に手順どおり訓練ができるか、しっかり対応ができるかということだと思っておりまして、そのため、まず、夜間の訓練──既に投光器等は用意しておりますけれども、夜間の訓練は8月中までには実施してまいりたいと。また、厳寒期、冬場の訓練につきましても今後検討してまいりたいと考えておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。 81 ◯渋谷委員  先ほどの委員の指摘にもありましたように、人災という指摘もあります。ぜひとも、万全の訓練、そして、事前に通知してやる訓練ではなくて、緊急時に本当に人が集まってくるのかとか、そういうところも含めて対処していただきたいと思います。  次、今回事故が発生した福島第一原子力発電所は、いわゆる老朽化原発である。このことを踏まえれば、老朽化した原子力発電所は順次廃炉とすべきではないかと考えますが、国としてどのように考えるかお伺いします。 82 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  まず、今回の福島第一原子力発電所1号機、これは40年を超えておりました。そういう意味では、老朽化した原発という御指摘はそのとおりだと思っております。  それで、今回のこの事故の要因を分析いたしましたときに、いわゆる原子炉の設計が古いことが起因しているのか、あるいは、時間がたつことによってさまざまな劣化事象が生じますけれども、そういう劣化事象によって今回の事故が起きたのかといったことを検討したものでございます。  今回の事故につきましては、福島第一の1号機から3号機はすべて炉心溶融にまで至ったわけでありますが、これは、先ほども申し上げましたように、炉心の冷却機能がすべて失われたことによって炉心の損傷に至ったというものでございます。したがって、炉心の設計の古さ、あるいはその年代によっての影響はなかったと考えているところでございます。  それからもう一つは、いわゆる劣化事象によりまして今回の事故に影響があったかどうかということでございます。  今回の事故の分析をいたしましたところ、地震の発生直後は、原子炉をとめる機能、つまり制御棒も正常に動作いたしましたし、それから非常用の電源もきちっと動きました。そして、非常用の冷却設備も動作しておりました。ただ、津波によりましてそれらの機能が失われてしまったということでございます。  したがって、そういう事象のプラントの動向を見ますと、いわゆる劣化事象──例えば、原子炉の容器が劣化しているとか、配管が疲労で破断をするとか、あるいはケーブルが劣化するとかといったような劣化事象によってこの事故が発生したものではないと考えております。  ただ、御指摘のように、高経年化と私どもは呼んでおりますが、老朽化した原子力発電所の安全性を確保することは極めて大事でございますので、これは、制度的には、高経年化の技術評価というのを運転開始後30年以降は10年置きにきちっと評価するという仕組みを持っているところでございます。もちろん、今回の事象も踏まえて、新たな知見が出てまいりましたら、そういったところにも反映をしていきたいと考えております。 83 ◯渋谷委員  福島第一原子力発電所の事故においては、発生した汚染水の処理にいまだに手間取っているようですが、大量に汚染水が発生した場合のさらなる対策として、可動式の高濃度汚染水処理装置を各事業者に設置させるなどの措置を講ずるべきと思いますが、御意見をお伺いします。 84 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の福島第一原子力発電所の事故におきましては、御指摘のように大量の汚染水が発生してございます。これは、まず炉心が損傷し、溶融し、そして、原子炉を本来閉じ込めるべき圧力容器あるいは格納容器が破損し、そこから冷却水がタービン建屋あるいはトレンチといったところに漏れ出ているという状況になっているものでございます。  それで、今回の緊急安全対策につきましては、まず、こういう炉心溶融あるいは炉心損傷を起こさないために冷却を万全にすること、そして、冷却を万全にすることによって、圧力容器あるいは格納容器の破損を避けることができます。  すなわち、水をきちっと中に入れて、そして、その水をどうするかというお話がありましたけれども、これは、当然、中の熱を取り出す必要が出てまいりますので、BWRの場合はベント操作、あるいはPWRにつきましては逃がし安全弁といったところから熱、蒸気を出すことによって冷却を続けてまいります。  したがって、緊急安全対策においては、こういう炉心損傷を起こさないための対策でございますので、汚染水を原則発生させないということが一番の基本になっているものでございます。  もちろん、委員御指摘のように、そういう事態も出てこないとも限りませんので、特に今回の経験──特に汚染水の処理は今海外からの技術を導入してやってございますけれども、我が国としてもしっかりとした技術開発を行って、こういう対応がきちっとできるような対応を考えていく必要があると考えております。  以上でございます。 85 ◯渋谷委員
     ぜひ、各事業者には、今回の事態を踏まえて、今の可動式の汚染水処理という問題に対してもきちっと取り組んでいただければと思います。  次に行きます。  今回の福島第一原子力発電所事故において、初期対応の中でSPEEDIの機能が生かせなかったとされているが、県としてはどのように受けとめるかお伺いします。 86 ◯名古屋環境生活部長  IAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書によれば、「地震による通信系統の途絶等により、原子炉の状態等に関する情報が入手できなかったため、施設から放出される放射性物質等に関する情報が得られず、SPEEDI本来の機能である放射能影響予測を行うことができなかった。こうした中、文部科学省、原子力安全・保安院及び原子力安全委員会において、様々な仮定をおいた上での試算を行っていたが、当該試算結果の当初公表は行われず、情報共有についても、関係省庁間で十分行われていなかった。危機管理上の観点からは、災害時の一般的な傾向として、被害が大きいほど情報が入ってこないおそれがある等のことも念頭に置いて、具体的なデータの活用方法、情報共有や公表の仕方等を十分考えておく必要があったと考えられる」としております。  SPEEDIにつきましては、今後国による見直しがなされるものと認識しております。県としては、国の対応状況を注視してまいりたいと考えております。 87 ◯渋谷委員  それでは、福島第一原子力発電所事故において、避難勧告等の指示が住民に正確に伝わらなかったとの指摘もありますが、県はどのように受けとめておりますでしょうか。 88 ◯名古屋環境生活部長  同じく国の報告書によれば、「周辺住民への情報提供については、事故発生の当初、大規模震災による通信手段の被害等により困難が伴った。その後の情報連絡についても、周辺住民等や自治体に対して適切なタイミングで実施できないことがあった。さらに、周辺住民等にとって重要な放射線、放射性物質の健康への影響や、国際放射線防護委員会の放射線防護の考え方の分かりやすい説明も十分でなかった。また、国民への情報公表という点については、現在までは、正確な事実を中心に公表しており、リスクの見通しまでは十分には示してこなかったため、かえって今後の見通しに不安をもたれる面もあった。このため、周辺住民等に対して、事故の状況や対応等に関する的確な情報提供、放射線影響等についての適切な説明などの取組みを強化する。また、事故が進行している中での情報公表について、今後のリスクも含めて示すことを情報公表の留意点として取り入れる」としております。  県としては、今後の国の対応状況を注視してまいりたいと考えております。 89 ◯渋谷委員  それでは、今回の福島第一原子力発電所を襲った津波と同規模の津波が仮に青森県において発生した場合にも、各事業者においては、今回実施した緊急安全対策や今後実施する安全対策で安全性を確保できると考えるのかお伺いいたします。 90 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  安全確保対策について御説明させていただきます。  東通原子力発電所におきましては、設置許可申請段階で評価した津波の高さは6.5メーターでございます。また、平成14年に土木学会が策定した指標により評価した津波高さは8.8メーターとなります。これに対しまして、東通原子力発電所の敷地高さは13メートルとなっておりまして、想定される津波高さに対して十分余裕のある敷地高さとなってございます。  一方、東京電力福島第一原子力発電所におきまして、今回の地震によりまして約15メーターの巨大な津波が観測されたということでございまして、これを踏まえまして、当社内におきまして、万一この津波によりまして交流電源の喪失があった、または海水による原子炉施設冷却機能の喪失が出た、燃料プール冷却機能の喪失、これら3つの安全上重要な機能の喪失があった場合でも、原子炉や燃料プールへの注水を継続しまして冷却することによりまして燃料の損傷を防止する緊急安全対策というのを取りまとめてございます。  具体的に申しますと、電源車より緊急時の電源を確保すること…… 91 ◯渋谷委員  委員長、今のは御説明があってるので、できるかできないかだけ答えさせてください。 92 ◯丸井副委員長  はい。  答弁者は簡潔にお答えください。 93 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  はい。  そういうことで、安全確保対策については、緊急時対策で十分いたしました。また、さらに中長期対策についても、大規模な電源装置、防潮堤の設置などをやりまして、安全確保はきっちりできると考えております。  以上でございます。 94 ◯林電源開発常務執行役員・大間現地本部長  電源開発でございます。お答えいたします。  当社は、今回の福島第一原子力発電所の事故を踏まえました安全強化対策の検討を他電力と同様に進めてきております。大間原子力発電所では、建設中にこれら対策を実施することとしております。  具体的には、福島第一原子力発電所での十四、五メーターの津波を考慮いたしまして、標高12メーターの敷地上への約3メーターの防潮壁の設置、外扉の防水化、重要な設備の入る部屋の水密性の向上、さらに、津波の影響を受けない標高20メーター以上の高台に空冷式の非常用発電機を設置するなどを考えております。加えて、電源車、可搬式動力ポンプ、海水ポンプ、電動機の予備品等の配備を行うこととしております。  これらの対策により、同規模の津波が発生した場合でも十分安全性は確保できるものと考えておりますが、今後も、新たな知見が得られた場合には、それらに対応した対策を適切に反映してまいります。  以上でございます。 95 ◯渋谷委員  委員長。 96 ◯丸井副委員長  よろしいですか。まだ……。 97 ◯渋谷委員  済みません、答弁の途中ですけれども、私は今の対策で安全性を確保できているのかどうかだけ聞いているんですから、簡潔に答えさせるようにしていただけますか。 98 ◯丸井副委員長  今後実施する安全対策という質問になっていますが、その分をお答えしている部分がありますが、いいんですか、その部分は。──渋谷委員。 99 ◯渋谷委員  そうすれば、質問をやり直します。  同規模の津波が仮に青森県において発生した場合、今の対策で安全性を確保できると考えているのかお伺いします。イエスかノーか。 100 ◯丸井副委員長  渋谷委員にお伺いいたしますが、残りの……。 101 ◯渋谷委員  ええ、東京電力さんとリサイクル燃料貯蔵株式会社さんにお願いします。 102 ◯四方東京電力東通原子力建設所長  東京電力につきましては、安全審査を昨年末に受けまして、今、詳細設計に係る工事計画認可の国の審査を受けている段階でございます。  具体的な対策につきましては、建設期間中に今後申請していきます工事計画認可の審査等において国へ御報告し、確認を受けてまいりたいと思いますが、このような過程において安全性を確保できるものと考えております。 103 ◯岡島リサイクル燃料貯蔵土木建築担当部長  リサイクル燃料貯蔵の岡島でございます。  まず、当社としましては、今回の津波については、今後、発生したメカニズムといったものを技術的に解明するということを重点に置いているところでございます。  仮に今回の15メーターの津波が我々の地点に来襲した場合ですが、まず、我々の地点は、前面に標高15メーターのがけ地形が連続している海岸に立地するということ、さらに、その海岸から500メーター陸側に敷地があるということ、それと、その敷地がもともと20メーターから30メーターの丘のところに、前面の20メーターの地形を残して16メーターに造成して建てるといったようなところで、15メーターの津波が来ても、その安全機能に損失はないと考えています。  ただ、前面に小規模ながら河川があるものですから、そういったところの遡上という事象に対する対策を今後詳細に検討していきたいと思っています。  ただ、我々の地点が仮に万々が一浸水をしたとしても、もともと燃料を貯蔵するキャスクというものは輸送と兼用のものですので、水没の事象を考えた安全性を確保しているということで御理解いただきたいと思います。 104 ◯渋谷委員  では、同じ質問をします。  東北電力株式会社東通発電所及び再処理施設の緊急安全対策の実施によって安全性は確保されたと考えるかどうか、保安院にお願いいたします。 105 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、原子力発電所については、3月30日に緊急安全対策の指示をしました。これは、福島第一と同様の津波が襲った場合、同様に交流電源の機能を失い、冷却機能を失ったとしても、原子炉を安定的に冷却できる対策ということで実施をさせました。で、この対策は確認できてございまして、必要な安全性は確保されていると考えております。  それから、再処理施設についても、5月1日に同様の指示をいたしました。  ただ、再処理施設は、先ほど説明がありましたように極めて高台にございますので、津波から直接受ける影響は少ないと思っておりますが、交流電源を失った場合の対策も緊急安全対策として指示をしておりまして、この確認も終了しているところでございます。  したがいまして、この2つの施設については安全性は十分確保されていると考えているところでございます。 106 ◯渋谷委員  それでは次に、原子力安全対策検証委員会についてお伺いします。  これまでの検証委員会の各委員会における委員の出席状況及び審議状況、また、検証委員会の今後の日程、いつ検証委員会の結論が出るのかお伺いします。 107 ◯佐々木企画政策部長  検証委員会の審議状況につきまして、出席状況も含めお答え申し上げます。  まず、第1回検証委員会は6月7日から8日にかけて開催されまして、委員13名中、初日は9名、2日目は7名が出席し、県内原子力施設の現地調査を行うとともに、事業者の行う緊急安全対策等について御説明を受けたところです。  次に、第2回検証委員会は6月19日に開催されまして、委員12名が出席され、事業者からは外部電源の信頼性確保について、原子力安全・保安院からは発電所及び再処理施設の緊急安全対策並びに外部電源の信頼性に対する評価等についての説明がなされ、委員からは、事業者間の安全対策の連携等、さまざまな御意見をいただいたところでございます。  また、先般の第3回検証委員会は6月26日に開催されまして、委員13名全員が出席され、事業者からはシビアアクシデントの対応に関する措置について、原子力安全・保安院からは原子力発電所におきますシビアアクシデントの対応に関する措置の実施状況の確認結果についての説明がなされ、これに続いて、東北電力株式会社東通原子力発電所の緊急安全対策等に係る検証が行われたところでございます。  その場では、シビアアクシデントへの対応を考えるに当たりまして、緊急時の人間の心理行動を踏まえた視点が大切であることや、緊急安全対策の訓練に当たっては、積雪寒冷地である本県の特性を考慮した不利条件下での訓練が重要であるなどの御意見が出されたところでございます。  続きまして、検証委員会の結論でございます。  県としましては、国及び事業者において講じられる県内の原子力施設に対する安全対策について、県民の安全・安心のために、それぞれの専門的お立場から厳しく検証するようお願いしているところであり、あらかじめ検証期間、回数等を設定しているものでないことから、今後とも、委員会の審議状況を踏まえ、検証委員会を適切に開催していきたいと考えております。  したがいまして、検証委員会の結論の時期につきましては、県として現段階におきまして申し上げる状況にはないところでございます。
    108 ◯渋谷委員  当初の会議のころ、出席率が非常に悪い。まあ、6月26日には全員参加したみたいですが、ぜひとも、これは、県民の命にかかわる問題でございますので、全員参加で議論をしっかりして、早くこの検証委員会の結論を出していただくようにお願いいたします。  続きまして、原子力立地地域の地元では、原子力施設の安全性に対する不安の声がある一方で、早く運転や工事を再開してほしいという声もありますが、知事はどのように受けとめているのかお伺いします。 109 ◯三村知事  渋谷委員にお答えいたします。  私ども青森県におけるところの原子力事業につきましては、国のエネルギー政策、そして原子力政策に沿う重要な事業であるとの認識のもと、安全確保を第一義に、地域振興に寄与することを前提に協力をしてきたところでございます。  しかしながら、今般発生いたしました東京電力福島第一原子力発電所の事故の重大性にかんがみ、国及び事業者の対応を初めとして、原子力発電そのものへの不安が広がっている状況にあると重く受けとめているところでございます。  そのため、国及び事業者において講じられる安全対策について独自に厳しく検証することが必要であると考え、専門家による原子力安全対策検証委員会を設置したところでございます。  この検証結果につきましては、繰り返し申し上げておりますが、県民の安全・安心を守る立場から、これを真摯に受けとめ、最大限尊重していきたいと考えており、現在、検証委員会における検証状況を見守っている状況でございます。  以上です。 110 ◯渋谷委員  これからしっかり検証して結論を出したいということでしたが、それでは、その検証結果が出た後、各原子力施設の安全性についての知事の判断はいつになるのかお伺いします。 111 ◯三村知事  渋谷委員にお答えいたします。  阿部委員にも似たような趣旨でお答えしましたが、この判断時期ということにつきましては、現在、原子力安全対策検証委員会において検証が進められているという中にありますので予断を持ってお答えすることができませんが、先ほどもお答えいたしましたとおり、私としては、この検証結果につきましては、これを真摯に受けとめ、最大限尊重していくとともに、県民の安全・安心を守る立場から、県民を代表します県議会での御議論、地域住民を代表する市町村長の御意見、原子力政策懇話会等での御意見、県民説明会における御意見、県内各界各層からの意見聴取における御意見等も踏まえ、スケジュールにとらわれることなく総合的な判断というふうに考えております。 112 ◯渋谷委員  私は、最近の新聞等で、先般もありましたが、電力需要が非常に切迫していると。本当に日本はこのままで大丈夫なのかと。大手企業が、ものづくりを、こんな電力の安定しないところから海外へということが連日記事の中で踊っているわけです。国の行く末──エネルギーは国の根幹にかかわる問題だと思っておりますので、非常に心配しております。  そういう中で、東北電力管内及び東京電力管内の電力需給状況は現在どのようになっているのか、また、今後、各事業者はどのように対策を講じていくのかをお伺いします。 113 ◯小松原東北電力青森支店副支店長  東北電力の小松原でございます。ただいまの御質問にお答えいたします。  震災によりまして停止した発電所の多くについては、発電再開の目途がまだ立っておらず、供給力がかなり低下している状況でございます。お客様側の被害も広範囲かつ甚大でございまして、節電に対する御理解と御協力をいただいていることもございまして、電力需要も震災前よりかなり低いレベルで推移しているところでございます。  このため、これまでのところ、電力需要が供給力を上回るような状況には至ってございません。具体的に申し上げますと、昨日6月28日は、供給力が1,151万キロ、また、最大電力が1,035万キロワットとなってございます。  なお、当社は、これまで長期計画停止中でありました火力電源の再起動、電源の保修停止期間・時期の調整、そしてガスタービン等新規電源の設置、さらには自家発余剰電力の活用、そして北海道電力からの融通受電などさまざまな供給力対策を実施してきておりまして、今後ともこのような供給力の積み増しに最大限取り組んでまいるつもりでございます。  しかしながら、震災前に比べまして供給力はかなり低下しておりまして、厳しい需給状況となることで、お客様に対してはより一層の節電に対する御協力をお願いしているところでございます。  以上でございます。 114 ◯佐久間東京電力理事・青森事務所長  東京電力の佐久間でございます。  ことしの東京電力の夏の供給力についてでございますが、当社としましては、本年4月15日時点で、ことしの夏の供給力を、7月末時点で5,200万キロワット、8月末時点で5,070万キロワットと見通しておりました。  その後、長期計画停止中の火力発電所の一部を除いたすべてについて8月末までの復旧の見通しが得られたことや、新たなガスタービンの設置、揚水発電のさらなる活用などにより、ことしの夏の供給力を、7月末時点で5,520万キロワット、8月末時点で5,620万キロワットへと上方修正しております。  他方、当社は、ことしの夏の需給両面の対策を通じまして、今回の震災により甚大な被害を受けた東北地方の電力需給バランスの緩和に向け、当社の供給力に余力のある範囲内で東北電力株式会社へ電力融通を行いたいと考えております。  ことしの夏の最大電力につきましては5,500万キロワットを見込んでおりますが、これにつきましては、昨年夏の実績である5,990万キロワットから、地震後のお客様の節電への御協力や震災による生産減少からの一部回復を勘案し、昨年より500万キロワット低い水準を見込んでおります。  当社といたしましては、今後も計画停電は原則実施しないこととしておりますため、引き続き、節電への協力のお願いをするとともに、供給力の確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 115 ◯渋谷委員  それでは、昨年度の東北電力管内の電力需要がピークになった日時及び電力供給力、また、今年度の最大の電力需要の予測及び電力供給力、そして、東北電力管内においてこのまま原子力発電所の運転が再開されない場合、年間のコスト増はどのくらいなのかお伺いします。 116 ◯小松原東北電力青森支店副支店長  お答えいたします。  まず最初の質問でございますが、ピークとなった日時、電力供給量でございますが、昨年の8月5日の15時に1,557万キロワットの最大電力需要が発生しまして、これは過去最大を記録してございます。なお、このときの予備力でございますが、100万キロワット程度を保有していたところでございます。  続きまして、2点目の今年度の需給関係でございますけれども、ことしの夏の需要については、気温などの気象条件が、通常の夏の場合なんですが、現時点では1,300万から1,380万キロワットと予想してございます。ただし、昨年の夏並みのかなりの猛暑になった場合、それぞれ100万キロワット程度増加しまして、最大で1,480万キロワット程度になると予想してございます。一方、ことしの供給力でございますが、これまで、当社としても、さまざまな供給力対策を行って、最大限努力してまいりました。この結果、1,230万キロワット程度の供給力となってございます。  当社といたしましては、今後ともできる限り供給力の積み増しに取り組んでいくこととしてございますけれども、震災により停止した多くの発電所について発電再開の目途が立っておらず、供給力がかなり低下しており、厳しい需給状況になると予想してございます。このようなことから、繰り返しになりますが、お客様に対してはより一層の節電に対する御協力をお願いしているところでございます。  続きまして、3点目の年間のコスト増の関係ですけれども、これは、現時点においては需給両面におきまして大変不確定要素が多くて、原子力発電所が停止した場合の他社からの融通、あるいは追加供給力を含めた代替供給力の構成といったものについての想定が困難でありまして、年間のコストの増加額などの影響額についてお答えできるような状況に至ってございませんので、御理解願いたいと思います。  以上でございます。 117 ◯渋谷委員  全国的に見た場合、このまま原子力発電所の稼働が定期点検に入ってすべて停止となった場合、電力の需給状況について国はどのように見込んでいるのかお伺いします。 118 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  渋谷委員の御質問にお答えいたします。  定期検査を終えた後にもかかわらず原子力発電所を再起動できない場合、この夏は、東日本のみならず、西日本の電力需給も逼迫することになり、震災からの復興と日本経済の再生に支障を来すおそれがあると考えております。  原子力発電所の安全性については、立地地域の皆様、また国民の皆様に丁寧に説明して、御理解と御協力を得たいと考えておりまして、我が国経済の今後の発展のためにもこの原子力発電所の再起動をぜひお願いしたいと考えておるところでございます。 119 ◯渋谷委員  私がどうしても納得できないのは、稼働中の原発は、今現在この時点でも稼働して、とめさせることがない、しかし、点検中のものは再稼働ができない、これは本当に矛盾している事案だと思います。この矛盾を解消するためには、すべて停止するべきではないですか。そういうことは可能なんでしょうか。 120 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  渋谷委員の御質問にお答え申し上げます。  仮にすべての原子力発電所の停止を行いますと、全体で4,770万キロワットの供給力が失われます。これは国内の発電電力量の約3割に相当すると見ております。  もちろん、供給力の喪失分というのは、火力発電や、先ほど各電力会社の取り組みもございましたが、こうしたものである程度は代替可能でありますが、その場合でも、供給力の不足、また、追加的な燃料コストの発生等々さまざまな問題が生じてくると考えております。  法律的なできるできない等の問題を超えて、日本経済への影響は非常に大きなものになると認識しております。 121 ◯渋谷委員  現実的には原子力発電所をすべて停止させるというのは不可能だと思うんです。国はエネルギー政策を見直すとはしていますが、現在のエネルギー需給の状況を考えれば、残念ながら、原子力なくして安定供給はできない。  安全性を確保しながら粛々と原子力発電所を再稼働させていかなければならないと思いますが、国はどのように考えているかお伺いします。 122 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  お答え申し上げます。  原子力の供給力が失われたときの影響は、先ほど申し上げたとおりでございます。  ただ、まずやらなければいけないことは、今回の事故の検証を踏まえまして、安全性の確保のための抜本的な対策を講じていくということであります。これによる安全確保を大前提といたしまして、エネルギーの4本の柱──化石燃料、原子力、再生可能エネルギー、そして省エネルギー──これは供給力ではなく利用側のことでございますが、この4つの柱の一つである原子力に関する政策を今後どのように進めていくかということを政府としても検討してまいります。  また、同時に、定期検査で停止している原子力発電所の再起動のことについてでございますが、電力供給の安定化、ひいては、震災からの復興、日本経済の再生のために不可欠なものであると先ほども申し上げたところでございます。  このため、これまでも、緊急安全対策が実施された原子力発電所の再起動につきましては、安全上支障がないことを確認した上で、その旨を立地地域の皆様に対し、海江田経済産業大臣も含め説明してきているところでございまして、本日も佐賀のほうに本大臣が行っているところでございます。  さらに、6月7日に、原子力安全・保安院のほうから、シビアアクシデントが発生した場合の対応策についても指示がなされ、これについては、既に、立入検査あるいは厳格な評価の結果、適切に実施されていることが確認されております。このため、6月18日に、その旨とあわせて、我が国経済の今後の発展のために再起動をお願いしたいという旨を談話として発表したものでございます。  今後とも、国が責任を持って国民の皆様に丁寧に説明を行っていきたいと思っております。自治体の皆様には、停止中の原子力発電所の再起動をぜひお願い申し上げたいと思います。 123 ◯渋谷委員  それでは、最後に、東北電力、東京電力にお伺いします。  今、供給力を積み増ししていくというお話でございました。しかし、もうこの辺で頭の切りかえをしていただいて、電力の平準化──ピークと夜間の余剰電力があるわけですので、電力としてそれに真剣に取り組んでいただきたい。地域でのNAS電池の利用、各家庭での蓄電池とか太陽光とか、そういうものを電力事業者としてぜひ切りかえてやっていただきたい。そのことに対する考えを聞かせてください。 124 ◯小松原東北電力青森支店副支店長  回答申し上げます。  まず、電力使用の平準化対策の取り組みということでございますが、やはり、節電対策の一つとして、電力の使用ピークを下げるということは極めて有効であると考えてございます。今夏においても、節電に関して、産業用から家庭用まで、ピークシフトの取り組みということを広くお願いしているところでございます。  また、今ございました一般家庭への蓄電池導入というところでございます。  御存じのとおり、電気は、発電即消費という特徴を持ってございます。蓄電池などにより発電と消費を時間的にコントロールするということは有効な手段と考えておるところでございますが、蓄電池の種類、あるいは容量、価格、管理方法など、広く一般家庭に普及する段階にはまだ達していないものと考えているところでございます。  以上でございます。 125 ◯丸井副委員長  佐久間理事。なお、時間が過ぎておりますので、答弁は簡明に願います。 126 ◯佐久間東京電力理事・青森事務所長  東京電力の佐久間でございます。  ことしの夏の供給量は、想定最大電力を上回っているものの、供給予備力はわずかということでございまして、お客様には引き続き節電のお願いをしているところでございます。  当社では、政府から示された電力需要対策を踏まえつつ、現状におけることしの夏の厳しい需給見通しについて御説明するとともに、節電コンサルタントなどを行い、お客様にさらなる節電の御協力をお願いさせていただいているところでございます。  以上でございます。
    127 ◯丸井副委員長  川村委員の発言を許可いたします。──川村委員。 128 ◯川村委員  青和会の川村でございます。  福島原発事故発生から間もなく4カ月を経過しようとしておりますが、いまだ収束のめどが立っておりません。連日、テレビ、新聞等の報道がありますが、当初の高い関心から、あきらめに似た関心に変化してきているように思われます。福島原発事故の収束のめどが立っていないということが国民の原子力発電に対する不信を増長している原因にもなっているわけであります。冒頭、事業者における事故の一日も早い収束努力と、国においても事故収束のための最大限の取り組みを改めて強く要請させていただきます。  それでは質問に入らせていただきますが、これまでの質疑と若干重複する部分もあると思いますので、お許しをいただきたいと思います。  最初に、原子力安全・保安院にお尋ねをします。  原子力発電所の緊急安全対策についてお伺いいたします。  3月30日に国が指示した福島第一原発事故を踏まえた他の原子力発電所の緊急安全対策の実施において、国は、今後、事故の全体像を把握し、分析・評価を行い、これらに対応した抜本的な対策を行うこととしておりますが、今後行う抜本的な対策というものはどういうものなのか、まずお伺いいたします。 129 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  今回、緊急安全対策の実施をいたしましたが、その後、6月7日に、政府といたしまして、事故原因の詳細分析並びにそれを踏まえた対策についての報告書の取りまとめをいたしました。これはIAEAに報告をしたものでございます。  その対策の大きな柱の考え方は、今回の福島の事故のようなシビアアクシデントを防止するための対策、それから、シビアアクシデントが仮に万が一発生した場合の対策、そして3番目は原子力の防災対策、そして4番目は、法制度あるいは安全規制体制の見直し、そして最後は安全文化と、この大きく5つの分野の教訓を整理するとともに、その対策の方向性を示しているものでございます。  それで、今御指摘の抜本対策というのは、既にこれまで講じました緊急安全対策──これは、最初の、シビアアクシデントの発生をそもそも防止する、あるいは生じた場合の対策というのは既にある程度講じておりますけれども、さらにこれを確実なものあるいは恒久的なものにするために、法律上の制度を見直したり、先ほどの議論にもありましたように、原子力安全委員会のほうで進められておりますが、各種の安全審査の指針類を見直す、こういう制度面あるいは体制面の見直し、検討を行うことがいわゆる抜本的対策として位置づけられたものでございまして、これは、少し時間を要しますけれども、しっかり取り組んでいきたいと考えているところでございます。 130 ◯川村委員  恒久的な安全対策を目指すということになると思うんですが、この抜本対策というのはいつころをめどとして作成されるものなのか、また、前段にありました緊急対策との関係というのはどういうふうに考えればよろしいのかお伺いします。 131 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、抜本対策と緊急安全対策の関係でございます。  緊急安全対策は、先ほど申しましたように、今回の福島の事故を踏まえて、二度とああいう原子力災害を起こさないための対策、必要な安全確保を行うための対策として位置づけております。  そして、先ほどの答弁の中で申し上げましたように、政府全体の報告書の中では、今回の緊急安全対策は、必要な安全性を確保するために実施すべき対策として位置づけられておりまして、原子力災害、つまりシビアアクシデントを防止するための対策、それから、追加的に行いました、万が一シビアアクシデントになった場合の対策は、まず緊急に構ずべき対策として位置づけられております。  これらの対策によって、まず原子力発電所におけます必要な安全性を確保するということが大きな主眼になっております。  さらに、先ほど申しました中長期対策は、こういった対策を恒久的に、あるいは、さらに信頼性なり安全性を向上させるための対策として位置づけておりまして、そのためには、今申しました法制度の見直し、指針の見直しということを実施してまいります。  これらに関しましては、個別の課題ごとによって少し時期は違ってまいりますけれども、おおむね2年から3年程度の間にこういう制度面での整備を行っていきたいと考えているところでございます。 132 ◯川村委員  2年から3年くらいをめどにこの抜本的な対策が講じられるというふうに理解をしたわけでありますが、きょうの午前からの質疑をずっと聞いておりまして、これも抜本対策に該当する事項ではないかなというふうに思うんですが、地震の強度あるいは津波の高さの基準、評価という問題がございます。  現在の国の基準からしますと、各施設ごとに、事業者から出されたものの評価を行って認めていく、あるいはチェック、指導をするという状況だと思うんですが、今回の震災を見た場合に、少なくとも、各地において、この東日本大震災を超える地震の強度あるいは津波の高さに耐え得る基準を示す必要があるんではないかというふうに私自身は強く感じております。この点についてはどういうふうに考えられるのかお伺いします。 133 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の東日本大震災は、極めて規模の大きい地震並びに津波が発生したものでございます。まず、これの分析・評価はきちっと行っていくことが非常に大事だと思っております。  具体的には、まず地震につきましては、例えば福島第一・第二原子力発電所並びに同じく被災しました女川原子力発電所などにおきまして観測されました地震波、これと、今耐震バックチェックで設定されております基準地震動──これは耐震評価をする上での基本となる最強の地震の大きさでございますが、これらの比較によりまして、今回の地震の大きさが一体どれぐらいのものであったのか、もし仮に基準地震動を大きく超えるような場合は一体どういったところに要因があったのか、こういったような分析が必要になってまいります。  現在、その分析を行っているところでございますが、少なくとも今わかっている範囲内では、福島第一・第二に関しましては、先ほど言いました基準地震動の範囲内におおむねおさまっております。一部その基準地震動を超えているものがございますが、これは、それによって設備の構造強度上の問題がないかどうかの応答解析も今やっているところでございますが、既に判明していますそのうちの2号、4号機については大丈夫だという結論が出てきております。  この夏の間にはその評価をまとめていきたいと思っております。それによりまして、地震の影響はどうであったかということをまずしっかりつかんでいきたいと思っております。  それからもう一つは、津波の影響でございます。  極めて大きな津波が発生したわけでございます。この津波の発生いたしましたメカニズム、すなわち、地盤が揺れることによって当然津波は出るわけでございますけれども、あれだけの高さの津波がいかにして発生したかといったことも十分解明していくことが必要でございます。  それで、一方、基準の見直しの御指摘をいただいたところでございます。基本は、こういう地震・津波の知見を踏まえて、耐震の安全性、特に今バックチェックというのをやっておりますが、そういったところにしっかり反映していく、つまり、そういう判断基準の中に反映していくということは当然必要であると考えております。これは、先ほど言った検討を待っていきたいと思っておりますが、いずれにしても、反映していくことは大事でございます。  それから、対策につきましても、一方で津波の高さ──今回15メートル近く遡上したということがございました。したがって、本来ですと、その津波がどれぐらいの大きさになるか──これは地震の揺れから想定して津波の大きさを見るわけでございますけれども、これには少し時間もかかるところでございますから、対策としましては、今回の福島第一と同程度の津波が襲来したとしても大丈夫なように、今回、緊急安全対策の中長期対策として津波の防護対策というのを入れております。これは、大体15メートル程度、正確にいえば、津波の想定高さにプラス9.5メートルぐらいを足すという対策の目標値をあらかじめ設定いたしまして、まず対策を先行して講じてもらうと、こういう対策を講じているところでございます。  これらによってしっかり安全性を確保していきたいと考えております。 134 ◯川村委員  今回の震災の分析・評価というものを十分行って、あるいは耐震バックチェックというものも改めて実施するということでありますけれども、その結果、これだけの津波の高さあるいは地震の強度に耐えなきゃいけないという基準が出てきた場合に、現在とられている緊急の対策で、例えば津波の高さに対する防潮堤のかさ上げとかということが中長期の対策として予定されているわけですが、そういうものが変わってくるという可能性もあるんでしょうか。 135 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、対策は、先ほど言いましたように、福島の原子力発電所に襲来しました津波と同程度を一つの対策の目標として実施していただいております。  それから、御指摘のように、津波の高さというのは、本来、地震の断層であるとか海溝型プレートであるとかそういったものの動きを評価して、津波がどの程度来るかというのを詳細分析いたします。ただ、これには少し時間がかかるものでございます。  それで、現在各発電所で行われております耐震バックチェックにおいては、そういう地震の揺れ、それから津波の高さ──特に津波の高さの評価は非常に大事でございますので、これを今しっかりやっているところでございます。  それで、委員の御指摘のとおり、仮に15メートルを超えるような津波がもし想定される場合は、当然対策の追加が必要になってまいります。しかしながら、15メートルの高さというのは相当程度の高さでございます。これは各地域によって当然状況が異なってまいりますので、海溝型プレートがあるようなところ、ないところ、それによってまた異なってまいりますから、それぞれの状況をよく踏まえて分析する必要がありますけれども、いずれにしても、まずそういうバックチェックの中で津波の高さをよく想定し、そして、今やっている対策がその範囲内に入っているのかどうか、もし超えているのだったら追加的な対策が必要になるというふうに考えているところでございます。 136 ◯川村委員  はい、わかりました。  今回の東日本大震災では想定外という言葉が相当使われましたけれども、想定外のこともこれからはやっぱり想定しておかなきゃいけないということではないかと思う。そういった点では、特に津波の高さあるいは地震の強度については、やっぱり国が全国に共通するような一定の基準を示していくべきではないのかなということを私は強く感じておりますので、そういった意見を踏まえた御検討をぜひお願いしたいと思います。  次に、午前中の阿部委員の質疑の中で汚染水の問題が指摘をされましたけれども、東電の福島原発事故では当面の汚染水の処理ということが大きな課題になっているようであります。緊急対策あるいは中長期対策の中で、先ほどの答弁では、汚染水を発生させないというところで終わっているんですが、これもやはり想定をしなきゃいけないと思うんです。  汚染水が発生する可能性があるということを前提にこれからの対策・対応をしなきゃいけないと思うんですが、私は、ぜひ、汚染水浄化の技術あるいは施設を早期に確立することが必要だと思いますけれども、その点について国のお考えを聞きたいと思います。 137 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘のとおりでございまして、基本は、緊急安全対策においては、炉心を損傷させないということでそういう汚染水を生じさせないことが第一義的な目標でございますが、御指摘のとおり、仮に汚染水が発生した場合、これを適切に処理し、処分していくことが必要でございます。  で、現在東京電力で行われております汚染水の処理は、海外の、アメリカなりヨーロッパの技術を導入いたしまして対応しているところでございますけれども、本来ですと、やはり日本の国としても、そういう高レベルの汚染水をきちっと処理・処分できる技術をしっかり確立して、こういった緊急時の場合でも対応できる体制をつくっていくことが極めて大事だと思っておりますので、御指摘の点を踏まえて、そういう技術開発なり体制の整備について検討していきたいと考えております。 138 ◯川村委員  汚染水の浄化についてなんですが、こういう事故というのはあってはならないことでありますし、発生もこれから抑えていくことになると思うんですが、万が一発生した場合ということでありますと、各施設ごとに準備をするというよりも、私は、事業者を単位として、あるいは業界全体として対応していくことが大事ではないかなというふうに思いますので、ぜひ、今後の対策の中で、こういった意見もあるんだということで受けとめていただきたいと思います。  次に、これも原子力安全・保安院に伺います。東通原子力発電所の緊急安全対策についてであります。  3月30日付で改正された技術基準への適合性評価や緊急安全対策の実施状況について国は妥当なものと評価しているところでありますが、今後の中長期対策──例えば非常用発電機の設置でありますとか津波による浸水防止対策等の実施の前に、先ほどもちょっと質問の中でありましたように、国が運転再開を可能と判断した理由についてお伺いします。 139 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  東通原子力発電所を初めとしまして、他の原子力発電所についても同様でございますが、今回の緊急安全対策の一番の大きな主眼は、福島と同様な地震あるいは津波の被害を受けたとしても、炉心を損傷することなくきちっと原子炉を安定的に冷却できる体制をつくることでございます。これによって、その原子炉の必要な安全性は確保されると考えてございます。  さらに、御指摘の中長期対策、これは、津波から防護するための防波堤、防潮堤などを整備するというような対策でございます。もちろん、これらによって原子炉の安全上重要な設備を守っていくというのは極めて大事な点でございますし、必要なことでございますが、まず今回我々がやるべきことは、先ほど言ったような原子力災害に至らない安定的な冷却ができる体制、必要な安全性を確保することをまず第一に実施いたしました。  先ほど言いました中長期対策というのは、これらの緊急安全対策で実施します冷却対策──全交流電源が失われた場合の対策を、信頼性をさらに強化する、安全性をさらに強化するという位置づけで考えておりまして、まずは、今回の緊急安全対策で確認された内容によりまして必要な安全性は確保されていると考えておりまして、したがって、結論としましては、安全上の支障がないと考えたところでございます。 140 ◯川村委員  東北電力に伺います。  国の指示を受けて東通原子力発電所の緊急安全対策が講じられるとしていますが、この中で1点だけ伺います。緊急時対応マニュアルの周知あるいは教育・訓練というのは非常に重要であると考えますけれども、東北電力の具体的な計画についてお伺いいたします。 141 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  教育・訓練は重要ということで、そういった内容について御説明させていただきます。  まず、緊急時安全対策、マニュアルにつきましては、制定、改正のたびに全所員に周知いたします。  また、今回掲げました緊急時対応の訓練につきましては、4月13日から19日にかけて個別の訓練を実施しました。そして、4月20日には総合訓練という形でさせていただきました。  これらの訓練で出てきた内容、課題というものにつきましてもマニュアルに反映して、必要であれば資機材の調達ということになります。そういったマニュアルも、改定があれば、そのときにまた全員に周知するということでございます。  また、シビアアクシデントの訓練につきましても、6月10日から14日まで訓練を実施して、その実効性を評価してマニュアルを制定してきたということでございます。  教育という形につきましては、マニュアルの習熟を図ることが必要ですので、今後とも継続的に行ってまいりたいと思います。  また、今後計画してございます大容量電源装置の中長期対策につきましても、マニュアルを整備するには、まずは訓練を実施して、その内容の実効性を確認してからマニュアルを制定していきたいと思っております。  緊急時対応の教育・訓練につきましては、委員御指摘のとおり非常に重要というふうに思っておりますので、今後ともしっかりと実施して、実効性を高めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 142 ◯川村委員  次に、東北電力と日本原燃にお伺いいたします。  六ヶ所再処理施設の外部電源の信頼性確保及び緊急安全対策についてでありますが、緊急時の電源確保を充実させるために、現在の六ヶ所変電所から、外部電源2回線のほかに、上北変電所を経由しない1回線をふやすという計画のようでありますが、非常時の電源系統についてお伺いいたします。 143 ◯小松原東北電力青森支店副支店長  原子力施設の外部電源の信頼性向上対策でございますが、今ほどの御質問にございましたとおり、上北変電所を経由しないで下北地区の原子力施設に供給できるよう、新たに15万ボルト送電線を平成26年度運開を目途に六ヶ所変電所まで新設することとしてございます。さらに、六ヶ所の再処理施設に対しましては、この新設する送電線からの分岐により予備線を引き込むことについて具体的な検討を進めていくこととしてございます。  これによりまして、六ヶ所再処理施設におきましては、万一既設の外部電源2回線の故障が発生した場合、さらには上北変電所や六ヶ所変電所の全故障が発生した場合におきましても、新設する送電線による系統の切りかえ操作などによりまして、六ヶ所再処理施設への外部電源供給を速やかに回復させることができるようになります。  また、50万ボルトの十和田幹線、北上幹線、これらを前倒し運開することとしまして、北上幹線はこの6月18日に、また十和田幹線は6月25日にそれぞれ運用を開始しているところでございます。これによりまして、当社管内全域の電力系統の強化を図ることができるとともに、ひいては、六ヶ所再処理施設を初めとする下北地域全体の原子力施設の外部電源供給の信頼性が向上するものと考えてございます。  以上でございます。 144 ◯中村日本原燃理事・再処理事業部再処理計画部長  当社の再処理事業所の電力は、東北電力さんの15万4,000キロボルトの送電線1系統2回線で現在受電してございますが、ただいま東北電力さんから御説明がありましたように、上北変電所、あるいは上北変電所を経ないルートで電気をいただけるということで、東北電力さんと具体化に向けて早急にお話をさせていただきつつ取り組んでまいりたいと考えてございます。
     以上でございます。 145 ◯川村委員  東北電力に伺います。  今回の震災で、原子力発電所はもちろんなんですが、火力発電所も一斉に停止するということで、東北全域で長期にわたる停電が発生いたしております。  そうしますと、大地震等の場合はほとんどの発電所が発電所単位の供給停止になるということで、外部電源をふやす意味合いというのを余り持たなくなるんではないかというふうに懸念されるわけでありますけれども、この点についてどういうふうにお考えになっているのか。特に、今回の震災の結果を受けて、火力発電所等も発電所単位で停止をされたと。こういうことに対する対策といいますか、を考えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。 146 ◯丸井副委員長  東北電力さんですよね、今の質問は。  小松原副支店長。 147 ◯小松原東北電力青森支店副支店長  先ほどの話とも関連しますが、3月11日、そして4月7日の地震に伴う広域停電でございますが、これは、弊社の宮城支店にございます宮城変電所におきまして、その周辺の複数の送電線が事故によりまして停止して遮断したと。さらには、宮城変電所の50万ボルト変圧器が遮断したと。これによりまして、北部の系統とそれ以外の系統が分離して火力発電所が停止したというような現象でございました。  したがいまして、今回火力発電所が停止したことに対する対策として、先ほど申し上げましたように十和田・北上幹線を運開させることによりまして、今まで北部の系統が27万の主に2つの系統で上北変電所と宮城変電所が連係されていたのを、大容量の50万ボルトの北部系統をふやす、つまり3ルート化することによって系統連係が強化されることになります。  したがいまして、これらの対策をすることによって、先般のような広域停電の再発防止につながると考えてございます。 148 ◯川村委員  ぜひ、今回の震災の停電というものを教訓にしながら、震災時でもできるだけの供給がなされるように御努力をいただきたいと思います。  次に、日本原燃にお伺いいたします。  日本原燃は、全交流電源喪失時に消防車等により高レベル濃縮廃液等の貯槽の冷却コイルへ注水することとしておりますが、コイルから冷却水が漏れて、高レベルの濃縮廃液が外部へ漏れるという心配はないのかお伺いいたします。 149 ◯大枝日本原燃再処理事業部再処理工場技術部長  お答えさせていただきます。  高レベル濃縮廃液等の貯槽は冷却が非常に重要でございますので、冷却系統の多重化等の設計をしてまいったところでございますけれども、全交流電源が喪失しました場合は電源が全部なくなりますので、そういう場合は、電源車の電力を供給することで冷却機能の回復をすることとしております。  さらに、消防車等を使いまして冷却コイルに水を注水することにしておりますが、この注水先の冷却コイルでございますが、これは、腐食環境に強いステンレス材を選択するとともに、腐食を考慮し、十分な厚みを確保しております。また、地震に対する対策といたしましては、基準地震動(Ss)に対して安全性を確保できるような設備対応を行っております。したがいまして、冷却コイルに穴があくというような可能性は非常に低いものと考えております。  万々が一冷却コイルに穴があいた場合は、冷却コイルは2系統用意してございますので、1系統を使って対応いたしますので、高レベル廃液が外部へ漏れ出ることは考えられないというふうに考えております。  以上でございます。 150 ◯川村委員  これも日本原燃にお伺いいたします。  六ヶ所再処理施設の緊急安全対策というものを見てみますと、非常に複雑であります。緊急対応マニュアルの周知、あるいは教育・訓練が非常に重要であるというふうに考えるものでありますが、日本原燃としてどのように考えておられるのかお伺いします。 151 ◯大和日本原燃副社長  お答え申し上げます。  緊急時の対策につきましては、十分な設備、資機材をあらかじめ準備しておくだけではなく、先生御指摘のとおり、現場の状況を的確に把握して、マニュアルに沿って、用意した資機材を駆使し、安全確保を図ることが非常に重要な要素と考えております。  このためには、マニュアルを熟知し、周知し、教育、そして実地訓練を繰り返して行っていく所存でございます。  また、マニュアルに対する問題点につきましても洗い出して、日々改善を継続していくこと、それから、対応要員の数についても十分に確保していくことが大切と考えているところでございます。  これまでの例を申し上げますと、電源車──今般配備したものでございますが、これをつなぎ込むための訓練については4月の16日、21日に実施しておりまして、今後も訓練を通した習熟に努めてまいりたいと思っております。また、エンジンつきの空気コンプレッサーの操作訓練については、これまで約120名の運転員に対してエンジンの起動や圧縮空気ホースのつなぎ込み操作を実際に行わせまして習熟に努めているところでございまして、また、夜間、冬期の状況での訓練についても今後実施するよう計画しているところでございます。 152 ◯川村委員  最後になりますが、東京電力と国のほうにお伺いします。  前段で風評被害についても議論がございましたけれども、御承知のように、青森県は、農林、畜産、水産が非常に盛んな県でございます。特にリンゴについては日本一の産地でもあります。  ところが、原発事故発生以降、台湾等への昨年産リンゴの輸出が停止されております。そういう点では、青森県でも風評被害が発生しているというふうにも言えるわけであります。また、東京電力福島原発事故の収束見通しからしますと、リンゴを初めとする今年産の農作物への影響が懸念されております。海外への食品輸出、国内の量販店等の取り扱いに大きな影響を及ぼす可能性もございます。  福島県や周辺の自治体には風評被害について補償しているようでありますが、青森県の風評被害は対象にならないのか、この点についてお伺いいたします。 153 ◯佐久間東京電力理事・青森事務所長  お答えをさせていただきます。  原子力損害賠償紛争審査会による第2次指針というのがありまして、それにおきまして、相当因果関係の認められる風評被害の範囲について一定の考え方が示されております。  しかしながら、指針にも示されているんですが、風評被害については、現時点においていまだ実態が必ずしも判明していないという状況もございまして、一般論として、相当因果関係の認定が大変難しいと考えております。  当社といたしましては、今後、第2次指針等を精査、検討した上で、対応については引き続き検討してまいりたいとは考えております。 154 ◯丸井副委員長  国のほうからのお答え──国のほうにも質問しておられますが、お答えはございませんか。──山本課長。 155 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  国のほうの対応でございますけれども、先ほどの賠償の範囲につきましては、文部科学省の中に賠償の範囲を決めます審査会が開催されて、今その検討が行われておるところでございます。御指摘のような風評被害みたいなものをどのように取り扱うかについてもいろいろ検討がなされているやに伺っているところでございますので、そういった中で対応がなされるものと考えております。 156 ◯川村委員  これまでのものについてはいいとしても、今年産のいろいろな農作物に大きな影響を及ぼす可能性があるわけです。したがって、その辺も踏まえてしっかり検討していただきたいというふうに思います。  また、県内でも、県を初め各市町村でモニタリング等の対策が強化されております。正しい情報を把握して、正しい情報を的確に伝えるということが大変重要であると思いますので、国としてもそういった点で御努力をいただきたいと思います。  終わります。 157 ◯丸井副委員長  畠山委員の発言を許可いたします。──畠山委員。 158 ◯畠山委員  公明・健政会の畠山です。  初めに、公明党のエネルギー政策についての考え方を申し上げたいと思います。  我が党は、原子力は過渡的エネルギーとして位置づけております。目指しているのは、太陽・水素系エネルギー社会──太陽光や風力、小水力など再生可能エネルギーを中心とする分散型電源をスマートグリッドで結ぶ姿です。ただし、その実現には相当の時間とコストがかかりますので、その間のつなぎの役割として、原子力発電を厳しい安全基準を設けながら使うという立場です。きのうの公明新聞には、つなぎは短いほうがいいという発言も出ておりましたけれども。  さて、3月11日の東京電力福島第一原発での大事故によって、原発は安全でクリーンなエネルギーであるという安全神話は崩壊しました。本日は、この新たな状況において──安全神話が崩壊したという状況において、御出席いただいている専門家の皆様から見解と対応を伺ってまいります。  初めに、津波対策について。  県内各原子力発電所の原子炉設置許可申請時における津波の想定高さと安全対策はどのようなものであったのか、そして、今回の福島第一原発における事故を踏まえ、県内の各施設ではどのような津波対策を講じることとしたのか、当初の対応と比較して違いがわかるように説明をお願いします。東北電力、電源開発、東京電力、よろしくお願いします。 159 ◯津幡東北電力執行役員東通原子力発電所長  今の津波の安全対策について御説明させていただきます。  まず、設置許可申請書段階での津波高さはということでございます。  津波高さは、先ほど申しましたけれども、設置許可段階では6.5メーター、平成14年の土木学会で評価した指標というのは8.8メーターでございます。そういう意味で、この津波に対する安全対策というのは、まず、敷地の高さをきちんとそれ以上にとるということでございまして、我々の敷地高さは13メーターになってございます。そういった意味で十分な余裕があるということ、また、非常用ディーゼル発電機の安全設備、そういったものは、東通原子力発電所の場合、設置許可申請段階から、海水熱交換器建屋──海水ポンプなどは海水熱交換器建屋に収納してございまして、津波の影響を受けにくい、そういった対策にしてございます。  次の、緊急安全対策とどういうふうに変わったのかということであります。  先ほどから御説明しておりますけれども、まず、津波によって交流電源が全部なくなる、ないしは原子炉施設の冷却機能が喪失する、燃料プールの冷却がなくなる、そういうものに対して電源をきちんと供給する、また、消防ポンプなどを用いて水を注水する、そういったことによりまして燃料の損傷を防止するといった緊急安全対策をつくったということになります。  また、中長期対策というふうに見れば、大容量電源の配備、それから防潮堤の設置、あと防潮壁ですね、そういったもの、それから、建屋の水密性を上げるという、扉を潜水艦構造のようにしていく、そういったものが対策となります。(発言あり)防潮堤につきましては、13メーターから2メーターで、15メーターの津波に対応できます。  以上でございます。 160 ◯林電源開発常務執行役員・大間現地本部長  電源開発でございます。大間について説明申し上げます。  設置許可申請時におきましては、日本海溝沿い、日本海東縁部、それからチリ沖の各海域におきまして想定される津波高について検討いたしました。その結果、大間発電所の敷地における津波最高水位は、日本海東縁部を波源に設定したケースで4.4メーターでございます。  これらについての対策でございますけれども、大間原子力発電所では、原子炉施設は標高12メーターの敷地に設置することから、原子炉施設の安全性は津波によって影響を受けないものとして申請時におきましては評価してございました。  また、原子炉の冷却に用いる排水ポンプ等はタービン建屋内に設置し、ポンプが貫通する床とポンプの間には水圧に耐えることができるようシールを施しまして、建屋内への海水の侵入を防止するなどの対策もとっております。  また、非常用電源といたしましては、標高12メートルの原子炉建屋の1階の個別の部屋に非常用ディーゼル発電機3台を設置するなどの対策を申請時においてとってきておりました。  今回、福島が起きたわけでございますけれども、それにつきましての津波対策といたしましては、福島第一原子力発電所におけます浸水高さ十四、五メーターを踏まえまして、原子炉施設の設置レベルであります標高12メーターの敷地の主建屋周りに3メーター程度の防潮壁を新たに設置することとしております。さらに、万が一それを乗り越えて浸水などが起きた場合には、主建屋外扉の防水化や安全上重要な機器を設置する部屋の水密性を向上することとしております。  それから、緊急時の電源確保といたしましては、先ほど建屋内に非常用DG3台とございましたけれども、これが万が一使用できない場合に備えまして、新たに高台に空冷式の非常用発電機を設置することとしております。電源盤やケーブルの損傷に備え、電源車や可搬式発電機、予備ケーブルなども新たに配備することとしております。  それから、緊急時の最終的な除熱機能の確保といたしましては、原子炉や使用済み燃料貯蔵プールを冷却するための水源となります水タンクの補強を必要に応じて行います。さらに、移動可能な可搬式動力ポンプ、海水ポンプ電動機の予備品、それから消防自動車などを追加配備いたします。  これら今申し上げました安全強化対策につきましては、大間におきましては建設中に実施し、安全確保に万全を期することといたしております。  なお、今後新たな知見が得られた場合には、それらに対応した対策を適切に反映してまいる所存でございます。  以上でございます。 161 ◯四方東京電力東通原子力建設所長  まず、設置許可申請の現時点での計画でございますが、東京電力の東通1号機につきましては、慶長、安政等の三陸地震津波、十勝沖地震津波などの歴史資料に残されました津波、または、海域の活断層がございますが、そこから想定される地震による津波、さらには三陸沖や十勝沖のプレートの境界付近に想定されます地震による津波、さらにチリ沖からの遠方津波、それらの津波からの水位変動量を評価いたしまして、設計の津波高さを敷地護岸前面で標高7.5メーターとしております。さらに、津波は自然地形を遡上してきますので、その高さを敷地南側で標高11.2メートルと評価しております。これに対しまして、原子炉建屋とかタービン建屋を設置するのを標高10メーターとしまして、さらに津波の遡上が考えられる敷地の南側につきましては標高12メーターの防潮堤を設置するというのが津波前の計画でございました。  当社は、福島の津波の事故後でございますが、既設発電所に対して国から御指示がありました緊急安全対策の指示とか、あと、今後、法令・法規の──今も改定されていますが、そういうものに準拠しまして今後検討していくこととしておりますが、安全対策の具体的内容としましては、既にもう御議論がされています、防潮堤での津波の侵入を防ぐこととか、水密扉で建物の浸水を防ぐこととか──具体的に何メートルにするかは、後でちょっと説明しますが、今後考えます。それと、予備電源を確保することとか、過酷事故に備えた設備とか訓練等をやるというようなことを今検討しております。  で、先ほど御説明しましたが、当社1号機につきましては、安全審査を受けまして、昨年12月の末に設置許可をいただいております。さらに、引き続きまして、設備の詳細設計を工事計画認可申請ということで出し──分割で、まず第1回を出して、今第2回を出しているところでございまして、その審査の中で、国のほうに具体的な対策──今おっしゃいましたそういうことにつきましても具体的な対策を御報告しまして、確認を受けてまいりたいと考えております。そういうことによって、今後、安全性を確保できるものと考えております。  以上でございます。
    162 ◯畠山委員  国では、東北電力東通原子力発電所における防潮堤の高さについて、どのような基準で妥当と判断をしたのか。 163 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の緊急安全対策におきましては、東京電力の福島第一原子力発電所の事故を踏まえたものとしてございます。  今回の福島第一原子力発電所の事象におきましては、津波想定高さおよそ5.5メートルに対して、それを9.5メートル上回る約15メートル程度の津波が襲来あるいは遡上してきたといったことがございました。したがって、今回の緊急安全対策におきましては、福島と同程度の津波、すなわち15メートル程度の津波が襲来したとしても大丈夫な対応をとるべしということで、中長期対策、つまり津波の防護対策の検討を指示しているところでございますので、各事業者においては、そういった指示、考え方を踏まえて対応がなされてきているものでございます。  したがって、東通については、そういう考え方を踏まえた形で津波の防護対策が立案されておりますので、それに対して評価を行ったものでございます。 164 ◯畠山委員  今の話は、福島が15メートルだったので東通も15メートルでよいということですか。 165 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  緊急安全対策の対策目標値として今回15メートルという一つの考え方を打ち出したものでございますが、もちろん、実際の津波の高さといいますのは、それぞれの地震の評価を行い、そして津波の評価を行い、それを踏まえた上で立案していくというのが基本の考え方でございます。  ただし、今回の福島第一の事故を踏まえますと、まさに福島第一ではその津波の高さのバックチェックをやっている最中にこういうことが起きたということでございました。したがって、私どもとしては、まず対策をしっかり先行させて実施をさせていこうということで、対策の目標値としてこういうものを提示し、実施をしていただいているものでございます。  したがって、実際のその妥当性、さらにそれを上回るかどうかなどの検討につきましては、耐震バックチェックの中で科学的な根拠を詰めた上でそれを評価していくことになるかと思っております。 166 ◯畠山委員  科学的でないということが今わかったわけですね。  で、ちょっと別な話ですけれども、最近の報道で、中央防災会議では、自然災害における津波対策について、あらゆる学術的な情報を検討し、最大級の津波を想定して対策を立案することを基本的な方向性とするとの発表がありました。これまでは疑わしいものは想定から却下していたが、今後は疑われるものは全部想定に入れるということで、従来の考え方、基準を抜本的に改めるものです。  そこで、中央防災会議において想定される津波の規模が各事業者で想定している津波の大きさをさらに上回ることとなった場合、国においては各事業者にどのように対応するのか伺います。 167 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  中央防災会議におきましては、特別の専門調査会を設置されまして、今回の津波・地震といったものの知見をきちっと分析・評価した上でさまざまに反映していくという取り組みがなされていると認識してございます。  私どもとしましても、こういう中央防災会議の検討を十分踏まえていく必要がございます。その結果についても、今現在各発電所で行われております耐震バックチェックのほうにきちっと反映させていくということは当然必要であろうかと思っております。  したがいまして、御指摘のように、この防災会議の結果を十分バックチェックに反映させるという考え方のもとで対応していきたいと考えております。 168 ◯畠山委員  国の責任においてしっかりとその津波の高さの想定とかをやっていただきたいと思います。  次に、再処理施設における緊急安全対策の実施状況について。  電源車が追加配備される前に使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設、再処理施設本体の両方の施設が同時に電源喪失した場合は、長期間、使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設に電源が供給されない事態となるが、その間の管理はどのように実施するのか、簡潔にお願いします。 169 ◯大和日本原燃副社長  お答え申し上げます。  何らかの理由ですべての非常用ディーゼル発電機が停止して全交流電源喪失に至った場合、現在保有しております電源車は、高レベル廃液の冷却及び水素滞留防止を行うため再処理本体施設に給電することとしております。  一方、使用済み燃料貯蔵プールのほうですが、現在貯蔵している燃料は発電所に比べますと十分冷却されており、電源の停止によって沸騰に至るまでには20日程度かかる、さらに、燃料が露出するまでにはその後100日程度かかるものと試算しております。  その間に、使用済み燃料が露出しないように水位を維持するために、再処理事業所内の防火水槽、あるいは消防用水の貯槽、貯水槽から使用済み燃料貯蔵プールに消防車及び可搬式の消防ポンプ等を使用して注水することにしております。また、使用済み燃料貯蔵プールに注水している間は、プールの水温と水位を定期的に監視することを考えておる次第でございます。  以上でございます。 170 ◯畠山委員  よくわかりました。  それでは次に、これまでの国による安全審査について、発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針──1990年8月30日の指針27「電源喪失に対する設計上の考慮」では、長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はないとしており、その理由として、原子力安全委員会の斑目委員長は、07年2月に、それは割り切った考え、すべてを考慮すると設計ができなくなると述べたと報道されています。事故前、保安院としてこれを適切な指針と考えていましたね。 171 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  お答えいたします。  この設計審査指針というのは、原子力設計審査をする上での判断基準として用いているところでございます。  御指摘のとおり、日本の場合は、この全交流、すなわち電力会社によります送電・配電の供給信頼性が極めて高いということの実績を踏まえて、そういう長期間にわたります全交流電源の喪失が少ないだろうという想定のもとでこの安全設計審査指針が策定され、成立してきて、そういう運用を行ってきたと考えております。  ただし、今回のように長期間にわたってすべての交流電源が失われるという事態が現に発生したわけでございますから、今回は、こういう考え方を抜本的に見直して、長期間の交流電源の停止においても対応できるような仕組み、体制をつくっていくことが重要であると思っております。  特に、今回の緊急安全対策、あるいは電源の信頼性確保対策というのを指示して今対策を実施しておりますが、まさにそういう反省を踏まえた上での対応であると御理解いただければと思っております。 172 ◯畠山委員  安全設計指針ということですけれども、安全の確保が目的ではなくて、建設を進めるための指針だと、こういう言い方ができるわけですね。  この指針はこれからどうしますか。 173 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  この指針の見直しにつきましては、原子力安全委員会のほうで、この設計審査指針──ほかの指針も含めてでございますけれども、見直しを行うということは既に表明されているところでございます。  もちろん、見直しの視点は、今回のような長期間にわたる全交流電源喪失に対応した形でどう改めるかというのは当然でございますが、それ以外にも、こういうシビアアクシデントといったものが発生いたしましたので、それ以外にもどういったことが起きるかということを含めて全面的見直しがなされるものと考えております。 174 ◯畠山委員  フランスやアメリカではこの全電源喪失というのはどういうような考え方になっているかわかりますか。 175 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  海外の例は、今必ずしも正確な情報を持ち合わせているわけではありませんが、日本の場合は、先ほど言いましたように、非常に供給信頼性が高いということで、比較的短時間──大体8時間とか、1日も超えないような時間でありますけれども、欧米の場合は、先ほど言いましたように、供給信頼性は日本と比べるとやや劣りますので、そういう意味ではもう少し長時間の対応を踏まえた形になっているかと思いますが、ただ、今回のような長期間に──何日も、10日以上もかかるような長期間になるものを想定しているかどうかは必ずしもつまびらかではございません。 176 ◯畠山委員  諸外国の例は正確ではないということのようですけれども、いずれにいたしましても、おごりがあったというふうに私は思います。  次に、発電用原子力施設に関する耐震設計審査指針(平成18年9月19日)では、残余のリスクを認めています。これは、策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、1、施設に重大な損傷事象が発生すること、2、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいは、それらの結果として、3、周辺公衆──住民ですね──に対して放射線被曝による災害を及ぼすことのリスクが記されています。つまり、策定した想定を上回れば国民が被曝するということが示されています。そして、これへの対応については、リスクを小さくするための努力が払われるべきであるという言い方のみで、具体の対応はありません。  保安院として、現在でもこの方針が適切であると考えていますか。 177 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  耐震設計審査指針においては、その残余のリスクの存在をきちっと評価して対応しなさいということが書かれております。これは、地震の大きさ、あるいは津波の大きさも含めてでございますけれども、さまざまな評価をした上でも、なおかつその想定を上回る可能性を否定できないことから、その残余のリスクをきちっと評価して対応しなさいというものでございます。  したがって、その基本的な考え方は現在においても十分支持し得るものとは思いますが、ただ、現実問題としまして、この残余のリスクをきちっと評価して対応するところについては必ずしも十分でなかったと思っております。これらについてのその評価の手法、方法なりがまだできていないということも当然あるのかもしれませんけれども、この残余のリスクをもう少し具体的に明確化し、今御指摘のありましたように、もともと本来この耐震指針が目指しているところのそういう想定外のこともきちっと対応できるような対策なり対応なり、あるいは評価の手法をしっかり構築していきたいと考えております。 178 ◯畠山委員  ここでも、割り切りというか、思考停止というか、そういう感じがしますね。3.11を機に、今回の事故で、原子力発電所の危険性について関心のなかった人も関心を持つようになったということが言えると思うんです。  次に移りますけれども、原子炉本体、原子炉建屋は飛行機が落ちても壊れないというふうにこれまで安全神話で聞いていましたけれども、これは正しいですか。 179 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  発電所に対します飛行機の落下の考え方でございますけれども、まず、実際に落下して壊れるかどうかよりも、飛行機が近くを飛ばないような形にしていきましょうというのが基本的な考え方であります。  すなわち、落下の確率というのを求めます。これは、実際には、航路がどこにあるかといったことを想定いたしまして、落下確率が低いものであれば特段の対策は必要ないけれども、もし高い場合は対策は必要だというところで評価をしておりました。  現在のすべての発電所においては、そういう落下確率というものを評価いたしまして、落ちてくる可能性は十分低いということで今評価がなされているところでございます。 180 ◯畠山委員  当たっても大丈夫なんですか。 181 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  当たっても大丈夫かどうかについては、実はテロ対策の関係もございますので、諸外国ともいろんな意見交換をしながら、その評価のやり方を今考えているところでございます。 182 ◯畠山委員  飛行機が当たらなくても、今回の福島の事故で、原子力施設では外部からの電源の確保が常時必要なことが原発の生命線であることが一般の人にもわかりました。つまり、外部の送電線と非常用電源設備、それから消防車などの送水用車両など、攻撃には無防備な施設設備を破壊するだけで──送電線をちょきんと切る、送電線の鉄塔を倒す、あるいは非常用電源設備をぽんぽんぽんと爆破する、消防車を爆破する、それだけでメルトダウン、メルトスルーを起こすことができる、大規模な攻撃をしなくても、要所を切るだけで原発というのはメルトダウンが起こるんだということがわかってしまったわけですね。素人にもわかってしまった。  テロ行為にも脆弱であることがわかりましたが、国の認識はどうですか。 183 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  電源を失うことによります脆弱性があることは御指摘のとおりだと思いますが、一般論として、まずこのテロ対策。特に、核物質を扱っておりますので、核物質防護の観点からは、既にさまざまな──さまざまといいますか、法律に基づきましてさまざまな対策がとられているところであります。特に、米国の同時多発テロ以降、特別の警察部隊、あるいは海上保安庁の巡視船といったところでのテロ対策あるいはその監視対策が実は非常に強化されているところでございます。  それで、仮にテロ攻撃があって、今おっしゃいましたそういう脆弱なところを破壊された場合においても、先ほど言った緊急安全対策を実施することによって冷却がちゃんと確保できるということはあります。ただ、確かに、消防車までやられてしまいますとどうかという問題も当然ございます。  それで、今回のこの事案を踏まえまして、確かにその脆弱性が一部明らかになっているところもありますので、今回、このテロ対策の強化という観点からさらに検討を進めていきたいと思っております。  具体的にどうするかというのは、もちろんテロ対策でありますから詳細なことをお答えすることには非常に難しい面がありますけれども、不審者の侵入防止、それからそういう外からの攻撃といったところについても、治安当局と連携をしながらその対策を検討していきたいと思っております。政府の報告書の中でもこのテロ対策の強化ということはうたわれているところでございますので、そういう対応をぜひ進めていきたいと思っております。 184 ◯畠山委員  今、テロ対策についても少ししゃべっていただいたと思うんですけれども、これらの安全軽視の指針──さっきの安全軽視の指針、それから、原子炉建屋のみを守る偏った、頭隠してしり隠さずの設計など、これらが安全神話の内実だったと。割り切らなければできないという発言に象徴される安全軽視の思想があったと。原発は、安全ではなく、危険な施設として認めて、その上でいかに安全を確保するかという考え方に改めなければならないと、このように思います。
     次に、原子力施設に対する安全対策は、今回の緊急安全対策で対象にしている津波対策と全電源喪失対策のほかにも、地震動そのものへの対策、原子力防災対策などへの対応があります。今後において、それぞれに新たな知見に基づく安全対策や見直しを講じる必要があります。  そこで、原子力発電所の再稼働について、去る18日、経済産業大臣が、原発の運転継続や再起動は安全上支障がないとして、原発の再起動をお願いする旨の大臣談話を発表しました。しかし、IAEA閣僚会議に提出した政府報告書は事故報告書としては暫定的なものと認めています。政府として暫定的な事故報告書しか出せない段階で、なぜ経産省は原発の運転継続や再起動は安全上支障がないと言い切れるのか、その理由を聞きます。エネ庁と保安院。 185 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  政府の報告書の位置づけでございますが、確かに暫定という言葉を使ってございますが、今回の事故の事象に至ります経緯は、詳細にシミュレーション、分析・評価を行っております。その意味では、事故の原因なりにつきましてはあらかたのことがわかっていると考えております。  ただ、御指摘のとおり、まだ福島第一自体の事故が収束をしておりませんので、やはり収束をした段階で本来の報告書になるべきと考えておるところでございます。  それで、そういった事故原因を踏まえた上で、今回の緊急安全対策といいますのは、先ほど言いましたように、原子力災害を起こさないための必要最小限の──必要な安全性をきちっと確保できる対策として位置づけられております。その報告の中でもそういう位置づけがなされております。  そして、中長期対策は、先ほども御答弁申し上げましたように、さらなる信頼性・安全性向上のための恒久的な対策を、法制度、指針類の見直し、安全規制体制の見直し、こういったものをしっかりやっていくということで位置づけているものでございまして、必要な安全性が確保されているという観点から大臣談話に至ったと考えてございます。 186 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  あわせまして、資源エネルギー庁のほうからもお答えをさせていただきたいと思います。  今山本が申し上げました、緊急安全対策によって原子力発電所の安全が確保できている、これを大前提としてでございますが、同時に、我々として国民の皆様に御理解いただきたいことは、この電力供給の制約というのがやはり我が国経済の成長の最大の課題となっているということでございます。この電力供給への不安、あるいは、石油あるいは火力発電で代替することによるコストの上昇といったことが国内投資の抑制あるいは海外移転につながって、産業の空洞化を招きかねないという危惧もございます。  したがって、緊急安全対策により安全上の支障がないということが確認された原子力発電所につきまして、電力供給の安定化、ひいては震災からの復興、経済の再生のために不可欠であるということで、再起動をお願いした次第でございます。 187 ◯畠山委員  なかなか納得できないお答えでした。  このことについても、青森県原子力安全対策検証委員会においては、厳しく独自の視点で検証を行っていただきたいと思います。  そこで、知事に伺います。  知事は、今後、原発の再起動等の是非について判断するに当たり、どのような手順が必要と考えているのか伺います。先ほども言っていると思いますので、簡潔にお願いします。 188 ◯三村知事  簡潔ということであれば、先ほど渋谷委員にお答えいたしましたとおりでございます。 189 ◯畠山委員  いいです、趣旨はわかっていますから。  3月11日から6月5日までは、震災への対応と復旧、そして知事選が重なった3カ月でした。そういう意味では、知事は多くの県民から福島の原発被害は他人事ではないと聞いたことと思います。再稼働の是非を判断する際に、知事は県民の声をどのように反映させるのか伺います。 190 ◯三村知事  改めてお答えいたします。  もちろん検証委員会のことはお話ししたわけでございますが、加えまして、御案内のとおり、県民を代表する県議会での御議論、また、地域住民を代表いたします市町村長さん方の御意見、原子力政策懇話会等での御意見、県民説明会における御意見、県内各界各層からの意見聴取ということもございまして、こういった御意見等を踏まえ、総合的に判断していきたいと考えております。  以上です。 191 ◯畠山委員  ぜひ厳しく判断していただきたいと思います。  最後に、我が党は、今月14日に「震災復興・日本経済再生に向けた総合経済対策」を発表しました。その対策の一つに「中期的な原発基幹型発電体制の見直し」を掲げました。冒頭に申し上げた我が党の基本方針は維持しつつ、一つ、再生可能エネルギーの導入を促進するため、買取制度の活用や、投資促進減税、省エネ・代替エネルギー減税、新エネ研究開発投資減税の拡充を行う。また、自家発電の増強、コジェネレーションの推進を図る、一つ、送電網の開放による地域分散型エネルギーの導入を促進する。日本全体での電力の安定供給に向けて列島縦断の直流高圧・高容量幹線送電網を整備する、一つ、スマートグリッドの早期導入を図る、と今後の見通しの方向を示し、過渡的エネルギーである原子力への依存の低減を見通しております。  福島で起きたことは想定外ではありませんでした。先ほどの指針が示していたとおり、策定した想定を上回れば国民が被曝するとのこれまで国が進めてきた原子力政策の当然の帰結でありました。繰り返しになりますが、安全神話の崩壊は国民の知るところとなりました。原子力政策について、我々は向き合い方を改めて冷静に考えなければならないときであると申し上げて、終わります。 192 ◯丸井副委員長  15分間休憩いたします。 ○休 憩  午後 3時11分 ○再 開  午後 3時30分 193 ◯神山委員長  休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  安藤委員の発言を許可いたします。──安藤委員。 194 ◯安藤委員  日本共産党の安藤晴美です。  日本共産党は、今回の東京電力福島第一原発の事故が発生するこうした状況を予言するかのように、チリ級地震発生の際の津波発生で電源喪失、冷却不能、炉心溶融が起こり得るということで、適切な対応をすることを、国会でも、そしてまた東京電力にも直接要求をしてきました。しかし、それを無視されてきた、そういうことはあり得ないというふうに突っぱねられてきた結果が今回の大きな未曾有の大震災となったということでは、大きな怒りを感じております。まさしく人災と言わざるを得ません。  この原発事故によって、10万人の住民の方々が避難生活を余儀なくされています。適切なこうした方々への十分な配慮と、そして情報公開を強く求めるものでございます。そして、補償ももちろんであります。  こうした中で、震源地が真下にあると言われている浜岡原発ですけれども、今停止中ですが、これは中止にしていただきたい。そして、40年以上たった炉を持つ老朽化した原発は、これも即刻中止をして、そして、私ども日本共産党は、5年から10年の間にすべての原子炉を中止させて、自然エネルギーに転換することを求めております。  それでは、質問に入らせていただきます。  福島第一原子力発電所事故を踏まえた国の対応について伺います。  1つ目は、国が妥当であるとしている事業者の安全対策のうち、防潮堤や非常用発電設備などについては事業者に計画を提出させたにすぎないと考えますが、国の見解を求めます。 195 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の緊急安全対策におきましては、大きく2つの点、1つは、福島のような地震・津波が起きた場合においても原子炉を安定的に冷却できるための対策と、それから、中長期の対策として、今御指摘のありましたような、高台における電源の確保でありますとか津波の防護対策を実施すること、この2つの対策を求めたものでございます。  特に後者におきましては、そういう施設整備並びにその対応に一定の期間を要することから中長期対策という位置づけをしてございますが、既に事業者はこの対策について着手をしているところでありますし、また、私ども保安院といたしましても、計画段階の確認は既に終わっております。  今後、これが具体的に設置され、あるいは整備されていく段階において、それが適切なものであるかどうかということもしっかり確認をしていきたいと考えております。 196 ◯安藤委員  設置、整備がされて、それを国が十分確認できる期間は大体どのくらいを想定しているんでしょうか。 197 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  この確認の方法については、段階的なものを考えております。現在は中長期対策としての構想段階でございますから、今後、防潮堤、防波堤の具体的、詳細な設計などの計画が出てまいりますので、まずそういったものを確認していくようなこと、それから、実際の整備、建設などにおきましては、その整備の途中状況を確認すること、そして、例えば発電設備が設置された段階においては、その性能を確認するようなこと、あるいは、防波堤などができましたら、その竣工状況を確認するといったような段階的な形で対応したいと思っております。  発電設備につきましては、およそ1年から1年半程度で設置が計画されておりますので、そういった途中段階ではもちろん最終段階で見てまいりますし、それから防潮堤、防波堤につきましては、おおむね2年から3年程度、長ければ3年程度かかるものもございますけれども、先ほど言った段階的な形で確認をしていきたいと考えております。 198 ◯安藤委員  まさしく、今出されているのは計画であって、それが本当に国がお墨つきを与えることのできるものであるかという確証がない現状であるということを肝に銘じなくてはいけないというふうに思います。  追加提示したシビアアクシデントへの対応に関する5項目の措置のうち水素爆発防止対策については、原子炉建屋屋上に穴あけにより排気口を設けることとし、穴あけ作業に必要なドリルなどを配備するというこそくなものであると考えますが、国の見解を伺いたいと思います。 199 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回のシビアアクシデント対策のうちの水素爆発対策につきましては、特に沸騰水型のものについては、炉心損傷によりまして水素が発生し、原子炉建屋の上部に滞留することによって爆発するおそれがあると。そのために、この水素が原子炉建屋の上部に滞留するのを防止する、すなわち水素を外部に排気する対策が有効でございます。  そのための対策として現在考えておりますのは、一つは、御指摘のように、水素を排気するための排気口、すなわち穴をあけるという対策をまず当面の対策として実施いたしますが、将来的には──将来的といいますのは来年度、24年度中を大体目標としてございますけれども、水素の検知器と水素のベント装置──これは、水素の濃度が高まってまいりますと、開口部を開放いたしまして水素を外部に放出すると、こういう装置を設置する対策を予定しているものでございます。 200 ◯安藤委員  今のドリル配備は当面のことであり、平成24年中に検知器などを配備するということなんですが、今、この水素爆発のことが大変大きな問題であり、また再び水素爆破が起きないかという心配の中にあるわけですが、水素爆発を防ぐために水素を排気することを優先させるということの措置だと思うんですが、その際に高濃度の放射線が放出されるという心配があるわけですが、その辺のことについての考え方というのはいかがなんでしょうか。 201 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、シビアアクシデントについては、これを起こさせないというのは当然のことでございます。おっしゃるような高濃度の放射性物質が出てくるのは、炉心が損傷して出てくる場合でございます。したがって、そのためには、炉心を損傷させないための対策──先ほど申しました緊急安全対策というのはまさにそれをねらっている対策でありますが、これをしっかりやるというのがまず大前提になってくるかと思っております。  その上で、そうはいっても、万が一の場合に備えて、炉心が損傷し水素が出てきた場合については、その水素の爆発によって原子炉建屋が福島第一のように吹き飛びますと、そもそも放射性物質も含めた物質が外部へどんどん出ていくことになってしまいますから、むしろ、その建屋を──建屋というのは本来閉じ込め機能の一部を担っているわけでございますから、それをしっかり設備としても防御していくという観点から、爆発防止のための水素対策は有効な対策だろうと考えております。 202 ◯安藤委員  爆発防止のためには有効だということなわけですが、今お話にあったように、内部でどのような損傷が発生しているかによって高濃度の放射線が放出されるということが予想されるわけですが、そういうことも踏まえて次の質問をしたいんですが、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、地震による原子炉施設等の損傷を想定した安全対策は全くとられていないというふうに考えますが、国の見解を伺いたいと思います。 203 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の福島第一の事故を踏まえまして、地震の影響というのは私どもは今現在分析を行いました。一つは、原子炉施設ではありませんが、電源の関係──送電線の倒壊であるとか電源設備の崩壊によって外部電源が喪失いたしましたので、そういった送電線の地震対策といいますか、あるいは電源設備の地震対策、これらについては電源の信頼性確保対策として指示をしております。ですから、地震対策が全くないわけではございません。  ただ、御指摘のとおり、原子炉施設本体につきましては、つまり、とめる、冷やす、閉じ込めるという安全上重要な機能を担うところについては、地震の発生以降炉心損傷に至るまでの経過をいろいろ分析いたしましたけれども、地震による機能の喪失とか機能の損傷といったものは見出されておりません。つまり、正常に動作しておったということ。  それからもう一つは、今、福島第一・第二の地震の観測記録が出ておりますので、それを、先ほど申しましたように、基準地震動との比較において地震の応答解析を行って、地震の影響があったかどうかということの見きわめは今やっているところでございます。  これまでのところ、解析が終わっている2号機、4号機、あるいは、そもそも基準地震動を超えておりません1号機などのデータなどから、直ちに地震対策として講ずべきような事案はまだ出ていないと考えております。したがって、十分分析をしていきたいと考えております。 204 ◯安藤委員  国がIAEAへ報告された文書の中でも、「地震・津波への対応の強化」というところで、「福島第一原子力発電所においては、原子炉建屋基礎盤上で観測された地震動の加速度応答スペクトルが、設計の基準地震動の加速度応答スペクトルに対して、一部の周期帯で超えた。地震によって外部電源に対して被害がもたらされた。原子炉施設の安全上重要な設備や機器については、現在までのところ地震による大きな損壊は確認されていないが、詳細な状況についてはまだ不明であり更なる調査が必要である」というふうに報告されています。  先ほどの答弁とダブるところでありますけれども、津波が想定外であったから今回のような大変な事象が起きたというだけではなく、マグニチュード9というこの地震によってどういう影響があったのかということをぜひ十分検証していただきたいというふうに思います。  それで、急に振って申しわけないんですけれども、原燃のほうにちょっと伺いたいと思います。  核燃再処理工場は、大変配管の多い、そしてつなぎ目の多い施設だというふうに理解しておりますが、マグニチュード9という大きな地震が来た際の影響というのははかり知れないと思うんですが、配管の総延長とつなぎ目の数、そして、マグニチュード9の地震が発生したときの影響などについてはどのように考えておられるのか伺いたいと思います。
    205 ◯中村日本原燃理事・再処理事業部再処理計画部長  ただいまの御質問にお答えします。  総延長については、約1,300キロでございます。つなぎ目は無数にございます。放射性物質が通るような配管につきましては、すべて溶接構造でつないでいるということで、非常に頑丈な構造になってございます。  それから、配管の耐震につきましては、要所要所にサポートを設けまして、壁にがっちりとサポートをさせることで耐震強度を維持させるというのが原則になってございます。  以上でございます。 206 ◯安藤委員  素人目で見たとしても無数にあるつなぎ目、そして1,300キロにも及ぶ配管の長さということが大地震が来たときにどんなふうになるのか、そこからの高レベルの放射線が外部に影響しないかということが非常に危惧されます。この辺について国はどんなふうに考えておられるでしょうか。 207 ◯真先原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長  お答えをさせていただきます。  六ヶ所再処理施設の耐震安全性の問題なんでございますが、再処理施設につきましても、原子力発電所と同様に、いわゆる耐震指針に基づいて設計を行ってございます。  基本的に、多くの高レベルの溶液、廃液等を包蔵するタンク等、あるいは配管ですね、これはたくさんございます。これらの施設が包蔵するそういう高レベルの放射性物質の影響等を勘案してその耐震クラスを設定しておりまして、重要な施設についてはしっかりとした耐震性を持たせるというような考え方で設計がなされてございます。  で、耐震指針が新耐震指針として改定された後に、耐震バックチェックの取り組みを国として行ってございますけれども、六ヶ所再処理施設につきましても、この耐震バックチェックということで評価──チェックですね、これをさせていただいてございます。昨年12月の段階で、原子力安全委員会のほうのチェックを完了しているということでございます。  基本的に、御指摘のとおり、確かに配管にしても、総延長数──非常に距離が長いといいますか、あるいはタンクにしてもたくさんのタンクがあったりする、その中に高レベルの廃液等が入っている、こういうことでございますが、そのリスクに対応いたしましてしっかりとした設計がなされているのを確認している、こういう状況にあるわけでございます。 208 ◯安藤委員  津波ではありませんが、想定外ということが──地震や津波ということについては今の科学的な知見でははかり知れないものが起こり得るわけで、そしてまた原子力施設についても、想定されていないようなことが起こり得るというふうなことも加味した十分な設計が必要だというふうに思います。  次の質問ですが、過酷事故が起こった際の住民避難体制について、国の方針が十分示されていないと考えますが、国の見解を伺います。  今、まさしく青森県は、福島の住民の皆さんのあの混乱ぶりをしっかり──それをよしとするわけではありません。それを検証しながら、青森県の県民にそれをどのように当てはめていくべきなのかということを今検証し始めようとしているわけですが、この点についての国の見解を伺いたいと思います。 209 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘の過酷事故、まさに今回の福島第一の場合のように、炉心が損傷し、大量の放射性物質が外部に放出されるような事態において、その周辺地域の方々に対しまして避難指示をし、その避難指示あるいは屋内待避といった対応措置をとるということでございます。  今回の福島の事故におきましては、当初、その事態の進展に応じて、3キロ、10キロ、最終的には20キロの避難区域、さらに、20から30キロの屋内待避区域というものを設定したところでございます。  御指摘のように、当初、この防災につきましては、国の防災指針などに基づいて、それぞれ地域ごとの防災計画が定められているところでございます。すなわち、どういう範囲でどういったところに避難していただくかということをあらかじめ決めておくものであります。  しかしながら、それぞれの防災指針の基本的な考え方の目安、避難すべき範囲の目安というものが、大体8キロから10キロ程度を想定したものでございました。ところが、今回の福島第一の事故は、御案内のとおり、20キロから30キロにまでその避難なり屋内待避の範囲が及ぶことになったわけでございます。したがって、そういう事態を踏まえますと、現在の防災指針を当然見直しておく必要がございます。原子力安全委員会においても、その防災指針の見直しについての検討が着手されたところでございます。  それで、具体的にどういった範囲を設定するかというのは、さまざまな議論をこれから重ねていくべきだと思っております。今御指摘にありましたように、単に飛んでくるものから避難をするという考え方だけではなくて、それが着地した、あるいは放射性物質が遠くまで運ばれていったような、今回設定しましたような計画的避難区域みたいな考え方も当然あるかと思っております。  そういった今回の福島の事故を踏まえた防災面での対応の経験と教訓をきちっと踏まえた上で、この防災指針の見直し、さらには防災体制──特にこの防災体制につきましては、国だけではございません、それぞれの県あるいは市町村、自治体の皆様と一緒に議論していかなくちゃいけない課題だと思っております。  したがって、こういう防災体制あるいは指針の見直しについても、皆様と十分意見を交換しながら進めていきたいと考えております。 210 ◯安藤委員  目安としては、大体いつごろまとめを終了しようというものでしょうか。今まさしく原因の究明も十分されていないときなわけですが、この防災体制や指針の見直しということについて、おおむねいつぐらいをめどにしておられるのでしょうか。 211 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  特に指針の見直しにつきましては、原子力安全委員会の委員長名で、安全委員会のもとにあります専門部会のほうに既に検討の指示がなされているところでございます。6月16日にそういう指示がなされたところでございます。  検討につきましては、まだ具体的な明確な期間というのはあれでございますけれども、おおよそ年内あるいは年度内ぐらいには一定の方向性を出すような形で検討を進めるというふうに伺ってございますので、安全委員会の検討──もちろん私どもとしてもいろいろな形で協力をする形になるかと思いますけれども、そういう形で検討を進めていきたいと思っております。 212 ◯安藤委員  原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書に示された28項目の教訓に照らしても、現時点では対策のごく一部に手をつけたにすぎないというふうに考えますが、この点について国はどのように見解を持たれているでしょうか。 213 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘の政府の報告書の中で、今回の福島の事故を踏まえて28項目の教訓を整理いたしました。  これは、大きく4つないし5つの分野に分かれます。1つがシビアアクシデントの発生防止のためのもの、それから2つ目が、シビアアクシデントが発生した後の対策でございます。それから3つ目が、今御指摘もありました原子力防災のあり方、そして4番目が、原子力の安全基盤の強化の問題、5番目が、安全文化の醸成活動の強化といいますか、これは1項目でございます。  大きくは4つないし5つでございますけれども、特に最初の2つ、シビアアクシデントの防止という観点からの対策と、シビアアクシデントが発生した場合の対応の対策、これらについては、先ほどからも御説明しておりますが、緊急安全対策──これは応急に短期に実施すべきもの、それから、防潮堤など中長期で実施すべきものとして既に着手されているもの、それからシビアアクシデントの対応につきましても既に指示をし確認をしているところでございますので、シビアアクシデントの発生の防止とシビアアクシデントが発生した場合の対応については、おおむね、実施すべきものは既に実施され、あるいは着手すべきものは着手されていると考えております。  で、残っておりますのは、先ほど御議論のありましたように、原子力防災の体制なりそのやり方についてどう見直していくか、それから原子力の安全基盤の強化──これは、法制度面の見直しでありますとか、先ほどありましたような指針類の見直し、さらには私ども保安院を含みます規制当局の安全規制体制のあり方の見直し、そういったものが中心として残されているものでございます。  いずれにしましても、中長期としてこの報告書の中で位置づけられているものは、さらなる安全性の向上なり信頼性の向上、あるいは今までやっておりました対策をさらに恒久的なものとするという位置づけのものでございますので、これもこれからしっかり取り組んでいきたいと考えておるところでございます。 214 ◯安藤委員  先ほども申し上げましたように、IAEAに報告した事項のほんのわずかだけですよね、まだ。今回、福島原発で重大事故が起こり、その収束の見通しもつけられない時点で、原発事故の始末ができていない政府が、ほかの原発が安全というふうにどうして言えるんでしょうか。このことについては厳しく問われなくてはならないと思います。  海江田経済産業大臣が、6月18日に、緊急安全対策に加えて追加指示したシビアアクシデント対策が適切に実施されていることを確認したということで、原子力発電所の再起動を地元自治体に求めたわけです。これに対して、原発立地道県の知事から大変厳しい批判の声が上げられています。論評に値する内容がないとか、再開のさの字も出る状況でないというふうな厳しい声が上がっていますが、こうした知事の反応に対してどんなふうにとらえておられるでしょうか。 215 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、安全面について私のほうからお答えをさせていただきます。  今回の緊急安全対策は、これまでも御説明しておりますように、福島の事故の分析・評価を踏まえて、ああいう事象が絶対起こらないように、原子炉をきちっと安定的に冷やすための体制として行うものでありまして、必要な安全性を確保できる対策として位置づけたものでございます。  さらに、御指摘いただきましたシビアアクシデント対策というのは、万が一そういった場合に陥ったときでも迅速な対応ができるための体制をしっかりつくっていこうということでございます。これらによりまして、原子力発電所が求められます今回の福島の事故を踏まえた上での必要な安全性は十分確保されていると考えておりまして、そういう意味での安全性の支障はないという判断をしていただき、大臣の判断に至ったというものでございます。  自治体の状況については資源エネルギー庁のほうから答えさせていただきます。 216 ◯森本資源エネルギー庁原子力立地核燃料サイクル産業課長  私への通告はございませんでしたが、自治体との関係につきましては私のほうでもやらせていただいております。  各県へは、海江田大臣が談話を発表した折に、みずからも説明に参るということをお話し申し上げました。それで、原子力安全・保安院のほうから各県へ安全対策について説明に行き、そして同時に、資源エネルギー庁のほうからは、各地域における需給の厳しい状況もあわせてお話し申し上げ、置かれた状況の厳しさについても御理解を求めているところでございます。  引き続き、国が責任を持って国民の皆様方に丁寧に説明を行っていきながら、ぜひとも御理解を賜りたいと考えているところでございます。 217 ◯安藤委員  本県においては、原子力安全対策検証委員会を開いて、そこにその審査の結果をゆだねるという知事の姿勢が示されているわけですが、他県の知事は、こういう状況の中ではきっぱりと安全ということを示せないということを表明しているわけです。他県のこうした知事の皆さんの対応について三村知事はどのようにお考えでしょうか。 218 ◯三村知事  お答えします。  それぞれの考え方だと思いますので、それ以上はございません。 219 ◯安藤委員  私は、本来なら、三村知事が県民の安心・安全という立場に立つのであれば、国に対する厳重な姿勢をみずからの声、思いで語っていただきたいというふうに思っております。  次の質問に移ります。  福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力施設の基準地震動を見直すべきと考えますが、国の見解を伺いたいと思います。 220 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の福島第一・第二、その他の発電所におきましても、今回の震災の被災を受けているわけでございます。  それで、基準地震動を見直すべきかどうかという御質問かと思いますが、先ほど申しましたように、福島第一原子力発電所、それから第二原子力発電所で観測されました地震波と、耐震安全性評価の基準となります基準地震動──これは想定する最強の地震動でありますけれども、これとの比較において、これを上回っているかどうかというのが一つの検討の要素になるんだろうと思っております。  これまでのところ、その観測された地震波といいますのは基準地震動をおおむね下回っております。ただし、今御指摘にありましたように、2号機、3号機、5号機の東西方向の加速度が基準地震動を上回っております。したがって、これらについての詳細な評価が必要でございますが、既に2号機については、概略評価を行いまして、基準地震動を下回っているという結果が出ております。今後、3号機あるいは5号機の評価を順次行っていくことになりますけれども、これまでの全体の傾向──例えば1号機については、全く基準地震動を上回っておりません。全部下回っているということになっております。  したがって、そういう分析をきちっとやった上で、上回っているかどうか、あるいは設備のほうへの影響がないかどうかということの詳細な分析を行った上で対応を検討したいと考えております。 221 ◯神山委員長  以上をもって安藤委員の質疑を終わります。  次に、古村委員の発言を許可いたします。──古村委員。 222 ◯古村委員  実は、今回の福島の原発事故では随分私も反省をしておりまして、自分自身が安全神話に洗脳されちゃったんではないかと。私は一貫して反対してきたつもりなんですけれども、海のどこか遠くの国のほうでは原発事故はあったとしても、日本では起こり得ない、海のかなたの遠い、民主化のおくれた国ではという思いがずっとあったというぐあいに気づきまして、大変反省をしているところであります。  そういう反省を踏まえて、4項目通告をしておりますけれども、まず一番最初については、自民党会派のほうからそういう質問がありました。浜岡原発と他の原発とはどういう危険性の違いがあるのかということをお聞きになっていましたので、2つ目の、福島第一原子力発電所においては、津波だけではなくて、地震による損傷があったのかまだはっきりしていない状況であると。今、山本課長のほうから基準値を下回っている発電所もあるという話もありましたので、津波対策や水素爆発の防止対策、この策定をもって安全上支障がないと宣言するのは時期が早いのではないのかと、そういう思いから国の見解をお聞きいたします。 223 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  地震対策についてのお尋ねと理解しております。  地震の影響につきましては、私ども、先ほど申しましたように、大きく2つの視点から評価をしてございます。  一つは、地震発生直後からの運転パラメーターによりまして、もし地震の影響がありますと、その安全上重要な設備について何らかの影響が出ているわけでございますから、まずこれを評価したものでございます。  その評価した結果、運転パラメーターをすべて見ておりますけれども、地震の発生直後から津波が来るまでの間は、とめる、冷やす、閉じ込めるのそれぞれの各機能は正常に動作をしておりまして、地震による設備のふぐあいといったものは発生していないというのが運転パラメーター上からわかります。  ただ、残念なことに、津波以降はその機能が失われ、炉心損傷に至るという事態になったものでございます。  それから、地震の影響は原子炉の本体施設にはないんですけれども、先ほど言いましたように、外部電源喪失の原因となりました送電線の倒壊でありますとか電気設備の倒壊がございましたので、これらについては、地震対策という形で、電源の信頼性向上対策の中で指示をし、対策を実施させているものでございます。  それからもう一つは、その地震の影響を解析で評価するという、先ほどの観測記録と基準地震動との比較においてその評価をしていくという形をとってございます。  先ほど申しましたように、1号機はそもそもがすべての方向で基準地震動を上回っておりませんし、超えておりました2号、3号、5号については、2号は既に終わっておりまして、3号、5号は今後順次やってまいりますけれども、これまでの経験から見ましても、もともと基準地震動に対して十分な余裕を持った形で設備の設計がなされておりますので、恐らく損壊というような数字にはならないとは考えてございます。そういう観点から、地震の対策というものを全体的に整理をしているところでございます。  もし仮にこういう新しい知見が出てくるんでしたら、そういう対応が今後必要であると思っておりますが、まず地震対策についてはそういう整理をしておりました。  それともう一つ、今回の津波対策で十分なのかということにつきましては、今回の事象の原因を踏まえ、まさにすべての交流電源を失い、炉心の冷却装置が失われることによって今回の事故が発生いたしましたので、それに必要な対策として緊急安全対策を立案し、実施したものでございます。これらによって必要な安全性が確保されていると理解しているところでございます。
    224 ◯古村委員  津波対策でいけば、原燃のほうでは、社長は、あり得ないこととするのではなくて、あり得ないこともこれからは考慮していかなければならないみたいな話を先月の記者会見で申されておりましたけれども、今回の津波対策では、原燃の再処理工場については、55メーターの高いところにあるし、5キロも奥にあることから津波対策は考慮する必要がないと一刀両断に切り捨てています。  問題は、国のほうでは15メートルの津波の高さというお話が先ほど議論されていましたけれども、この津波の高さというのは、海面からはかって15メーターなの、それとも、どこからはかって15メーターなの。 225 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  その津波の高さというのは、それぞれ基準面というところがあります。それは、地域によって、非常に安定した湾──例えば、東京湾であるとか、福島においては小名浜とか、そういったところを基準にして何メートルという言い方をしております。  それで、今回の福島の場合におきましては、当時想定しておりました津波高さ、大体5メートル強の高さに対しまして15メートル程度の津波の遡上があったということでございますので、少なくともこの福島と同程度の津波が来ても安全上問題がないように、津波の被害を受けないように津波の防護対策を実施するという考え方で対策を実施しておるものでございます。 226 ◯古村委員  津波が5メーター、遡上高が10メーターとか、それから浸水高ですか、そういうのもあるわけでしょう。その辺、15メーターというのはみんな混同しているんではないの。だから、原燃のほうでは、一緒くたにして、うちのほうは津波対策は要らないという返答をしているんじゃないの。 227 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  津波の評価をするというのは、まず津波本体の高さと、それが実際に陸に遡上していく高さというものがございます。  福島の場合は、実際津波が来て、敷地の高さは約10メートル程度であったわけでありますけれども、津波の遡上高さ──津波が建屋の周りを浸水していく範囲でありますけれども、その範囲が、海抜からいうと十四、五メートルの高さのところまで津波が襲ってきたということ、で、それによって実際の施設の被害が起きておりますので、したがって、正確には津波の遡上高さというのが正しい言い方のようでありますけれども、海の高さが15メートルというんじゃなくて、浸水してきました、遡上してきた高さが十四、五メートルというふうに言われておりますので、それに相当した対策を実施したものと整理しているものでございます。 228 ◯古村委員  津波の高さではなくて、遡上高が15メートルということなんですか。じゃ、原燃は、津波の高さでうちのほうは影響ないと。何か食い違っているみたいな感じがしないですか。だから、あんたたち、遡上高なのか、津波高なのか、浸水高なのか──この15メートルという基準が海面なのかどこなのかはまた別にしても、15メートルというのが、一般に津波高と言われているものなのか遡上高なのか、その辺は明確でないみたいな感じ。 229 ◯川井日本原燃社長  今の御質問の直接のお答えにはなりませんけれども、私が日本原燃の再処理工場については津波の影響はまず考えられないと申し上げているのは、標高55メーターの高さにあるということと、5キロ以上内陸地にあるということ、さらに台地上でございます。遡上という意味では、リアス式海岸のように先が細くなっていますと、だんだん高くなって、今回も20メーター以上のところがあったというふうに聞きますけれども、六ヶ所の私どもの敷地は台地上で広々とした中でのサイトでございますので、影響はないというふうに申し上げているところでございます。ぜひ御理解を賜りたいと思います。 230 ◯古村委員  別に、国を余りかばわなくてもいいじゃ。  次なんですが、これまで事業者の報告をうのみにしてきた原子力安全・保安院の無責任体質が今回の福島第一原子力発電所事故を防げなかった要因ではないかと私は考えていますけれども、国のほうの見解を伺いたい。 231 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  私ども、安全規制を行う上では、まず原子炉等規制法など各種の法律があり、そのもとでの許認可行為があり、審査・検査などを実施しております。  それに当たっての判断基準──先ほど例のありました安全設計審査指針、あるいは技術上の基準、安全上の基準、こういったものを整備いたしまして判断してきているものでございます。  これらは、もちろん、それまでの科学的知見を踏まえたものとして位置づけてやってきているものでございまして、決して事業者のあれをうのみにするというものでなくて、客観的、科学的に評価するということを基本の姿勢として今まで対応してきたつもりでございます。 232 ◯古村委員  そうすれば、この間テレビに入っていたんだけれども、福島第一の4号機のプールを支える支柱を設置している──何か7月末の完成を予定しているというお話でありましたけれども、この4号機の使用済み燃料プールの負荷・荷重の問題については、保安院のほうでは、5月28日に、耐震安全性は確保されており、耐震安全性が確保できないおそれのある箇所はないという検討結果を出しているわけ。それを、鉄骨の支柱で燃料プールを支える工事を東電のほうでやっている。言ってみれば、東電のほうでは裕度が足りないということで工事をしたと思うんです。そうでなければ、今こういう緊急事態のときにわざわざ念のために補強工事をやるということはあり得ないと思うんですけれども、耐震は確保されているといいながら補強工事を東電ではやっている。これなんかは、言ってみれば、業者が先にありきで、おたくさんのほうはただ追認するだけの機関ではないか、業者の言いなりですべてが行われているんではないかという不信の例に挙げているわけなんですが、これについてどう思いますか。 233 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  使用済み燃料プールにつきましては、4号機は、御案内のとおり建屋が爆発してございまして、プールの上部がなくなったり、周りを支えているところがなくなったりしております。したがって、耐震上問題がないかどうかということをきちっと評価するということで、耐震安全性の評価をいたしました。これは、先ほどありました、福島で想定しておりました基準地震動の力に対しまして、今残って支えております強度によりましてこのプールがきちっと支えられるかどうかということを評価いたしました。  その結果として、今御指摘のように、耐震上の、特に上部の荷重がなくなっておることが一つの要因だと思いますけれども、大きな地震によってそのプールが崩れることはないということが考えられるという評価がなされております。  ただし、見てのとおり、あの4号機の建屋は、周りが吹き飛び、プールも一部むき出しのような状況になってございますので、それをしっかり支えることも必要であろうという観点から、事業者がそういう下から支える構造を用意しているものでございます。  もちろん、設備の一部がだんだん弱ってくる可能性も将来考えられますから、そういう対策をあらかじめ講じておくことは大変重要なことであると考えております。 234 ◯古村委員  それでは次なんですが、まず、地震・津波、原発事故──言ってみれば、福島の被災者というのは何らの罪もとがもないのに今三重苦を味わっているとおらは見ていますけれども、先ほどもおっしゃっていましたけれども、地震動は耐震見直し時の想定地震動以下だったと言われておりまして、その結果として、とめることはできたと。とめることはできたけれども、原発被害は、この、14メートルですか、津波被害、こういうことを強調していますけれども、実際、奥尻なんかでは17メートル、それからインドネシアとかああいうところでは相当な津波の被害というのが起きているわけなんですけれども、こういう大きな津波が来れば、原発だけではなくて火力発電も、日本の場合は臨海部に設置していますから全部だめになる、あるいはまた、地震によって送電線も寸断されると。これは素人でもわかると思いますけれども、こういう事態になって、冷却材としての水も十分確保できなかったということで今回の過酷事故になったわけでありますけれども、これは想定できなかったのではなくて、想定したくないというのか、想定してこなかった責任というのは大きいと思いますけれども、その辺はどうお考えになりますか。 235 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘のとおり、今回のように、津波──これは共通要因事象と呼んだりもしますけれども、一斉にすべての交流電源が失われ、冷却機能が失われるといった事態は今まで想定してこなかった。これについては、私どもとしても非常に大きく反省すべきだと思っております。やはり、こういう事態も想定して、それでも発電所あるいは原子炉の安全性がきちっと確保できるという対策は本来講じておくべきであったと考えております。  こういう過酷な事象をシビアアクシデントと呼びますけれども、こういうシビアアクシデント対策は、これまで事業者の自主的な対応という形で行われてきたわけであります。もちろんこれの確認は国としてもやってきたわけでありますが、今後は、先ほどの政府の報告書の中にありましたように、こういうシビアアクシデント対策についても制度的にきちっと位置づけた上で対応を行っていくべしという対策を打ち出しておりますので、そういった中で、今回の事象のみならず、それ以外にも起き得るようなシビアアクシデントもさまざま想定しながら対策を充実していくということで取り組んでいきたいと思っております。 236 ◯古村委員  ですから、この緊急対策だけをもって例えば東通なんかの再開・再稼働を決するというのは、おらは、何というの、原子力安全・保安院というのは、事故が起きないようチェックする機関であるにもかかわらず、安全宣言をする役所ではないのかと。今回も、事故は起きましたけれども、大丈夫です、安全ですと。これからは事故は起きませんよということで今回こういう説明会なんかをやっているわけなんでしょう。 237 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の対策は、福島の事故の原因分析なり教訓を踏まえた上での対策ということで、福島と同じようなああいう原子力災害に至ることがないような対策として講じたものでございます。  したがって、これから考えられるあらゆるものを想定したものではなくて、あくまで、福島第一のような事故を二度と起こさないための対策、あるいは決意のもとで対策を実施したというふうに御理解いただければと思います。 238 ◯古村委員  まず、福島ではいまだ収束の見通しも立たない、そういう中で現在も環境中に放射能を放出し続けているわけでありますけれども、保安院自体は、まずこの事故収束に向けて全力を費やすべきではないのかと。一々うちのほうまで来て、こうこうですよ、緊急対策はこうですよ、さっき言ったように、ドリルで穴をあけるとか、そういう説明をする暇があるのかなという感じはします。ですから、まず、この事業者に対する緊急時の対策指示に先立って、みずからの緊急対策の反省、点検こそが今保安院に最も必要ではないのかと。  例えば、緊急対策の拠点であるべきだったオフサイトセンター、これについても今回は全く機能しなかったということもあります。それから、きょうも午前中に出ていましたけれども、緊急時対策支援システム、さらには緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、これらが機能しなかったと。したがって、これらの整備こそが重要課題だと考えていますけれども、ひとつ国の考え方をお聞きしたい。 239 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘のとおり、まず、福島第一の事故の収束を図る、これはもう第一優先でやるべきものでありまして、きょうの御答弁の中でも申し上げましたように、東京電力と物理的に一体となる統合本部──今現在は統合室と呼んでいますけれども、そういった組織までつくりまして──統合本部は実は経産大臣もメンバーに入っておられるものでありますが、そういう事故収束のための対策も実施しております。  それから第2は、きょうは全く答弁いたしませんでしたが、被災者の支援対策も、実は現地本部を中心としてやっているものでございます。  それから3つ目が、この福島以外の原子力発電所の安全確保対策をどうしていくべきかと。今回の緊急安全対策はその一つの例でございますけれども、ほかの発電所についての安全確保対策をしっかりやっていくようなこと。  それから、中長期の課題としまして、こういうすぐにやるべきことに加えて、これから中長期的にやるべき課題。これは、先ほど言いましたように、政府の報告書の中で課題として整理をしております。先ほどのオフサイトセンターの件につきましても、防災対策の見直し、検討について提言を出しておりますので、そのオフサイトセンターを含めた検討も当然やっていくべきものと考えております。  したがって、私どもとしては、そういった優先順位、あるいは考え方、あるいは検討すべき方向性を整理して現在対応をさせていただいているというふうに御理解いただければと思っております。 240 ◯古村委員  緊急対策を求めている、指示している、それに対して報告が出ていると。ただ、この緊急対策の計画というんですか、これだけでオーケーということでお墨つきを与えるんではなくて、やっぱり、緊急対策そのものを実施した、あるいは、もう少し短期的なもの、中期的なものを実施した段階で保安院はオーケーを与えるべきではないのかと。何かこの緊急対策の計画段階だけでゴーを出すというのは、電力の確保だけが先走りしているんではないかという印象を持ちますけれども、どうですか。 241 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  今回の緊急安全対策は、これまで御説明しておりますように、原子炉を安定的に冷却させるために直ちに講ずべき対策と中長期的な対策に分かれております。そうして、直ちに講ずべき対策については既に実施済みでありまして、それらについては私どもも確認は終了しております。中長期対策は、もちろん今後実施していくものでありまして、先ほど答弁いたしましたように、段階的にその実施状況を確認してまいります。  それから、この緊急安全対策も、御指摘のように、一回確認したらそれで終わりではありません。特に、この原子炉を冷やすための対策といいますのは資機材、人によって実施をするものでございますから、継続的に訓練を実施し、その実効性を常に確認し、そして、私ども規制当局は、その体制なり実効性が十分あるかどうかを定期的に──保安検査というのを年に4回ぐらいやっておりますけれども、そういった検査を通じて確認していくという形で、その実効性を常に維持、あるいは場合によっては改善させる取り組みを継続的に続けていきたいと考えております。 242 ◯古村委員  さらにまた、その対策の面で、どうも──この原発というのは遠隔操作で運転するわけでしょう、制御室だか何だかというところにおいて。それから、IT化、デジタル化、それからマニュアルということを盛んにおっしゃっていますけれども、こういうことによって、運転員というんですか、作業員というんですか、そういう人たちが考えることをやめてしまっているんではないか、自分で判断できなくなっているんではないかと。それらが、デジタルとかIT──一方が片づかないと他のものに移れないとか、みずから考えて緊急対応できない状態に陥っているんではないかという心配もあるんですが、そういう点はどういうものなんでしょう。 243 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  まず、デジタル化は、例えば中央制御室が今デジタル化されてきております。これは、コンピューター処理によって、今までアナログ方式で処理されていたものをデジタル化し、さらに、IT技術を使いましていろんな画面に切りかえすることによって発電所のいろいろな細かな状況を把握できるというものでございますが、これはむしろツールでございますので、特にデジタル化したから人の技能が落ちるというものではなくて、発電所の細かな情報、詳細なデータを一つの画面でさまざまな形で見られ、むしろ、利便性あるいは視認性などといったものが向上できていると考えております。もちろん、デジタル化の問題は、コンピューターのソフトのバグがないかどうかとかといった別の面での検証がもちろん必要でございますから、そういったところから対応しているということでございます。  それからもう一つ、マニュアル化の問題でありますが、これは、確かに、御指摘のように両面あると思っております。ただ、マニュアル化するということは、判断基準を一つ一つ文章化し、明確化し、今まで人でやっていたものを──頭の中で形に見えなかったものをきちっと文章化することによって、それを技術的な意味で伝承できるような形になりますから、客観的あるいは技術的な判断が正確にできるという意味ではメリットがありますが、他方、確かに余り文章、マニュアルに頼り過ぎますと、みずから判断しなくなるということがあります。  したがって、ここは非常に難しいところでありますけれども、きちっとした判断根拠を明確化することは一方でやりつつ、そういったものを補うためのまさに教育と訓練──これは事業者で実際やっていただくものでありますけれども、特に中央操作室の訓練などを見ておりますと、シミュレーターを用いて、さまざまな事象、あるいは大きな地震が起きた場合でもきちっとした対応ができるかどうかといったことを、訓練を積み重ねながら、個々人の方々の技能なり能力の向上に努めていただいていると思っております。  したがって、こういう継続的な取り組み──地道な取り組みかもしれませんけれども、きちっと見える形でその技能を伝承し、それを高めていく取り組みを各事業者で引き続きやっていただきたいと考えているところでございます。 244 ◯古村委員  ぜひ、今回の事故の教訓として──不測の事態に即応できる管理体制であったのかどうか。言ってみれば、デジタル化などによって、運転員等がロボット化みたいに対応──変な言い方ですけれども、そういう事態がなかったのかという思いをしているところであります。  次に、ちょっと気になるのがあったんですが、原子力安全・保安院に首席統括安全審査官という職はありますか。 245 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  御指摘の首席統括安全審査官は、指定職になると思いますけれども、保安院の中に1人、そういう職もあり、実際選任されております。 246 ◯古村委員  何か、原子力安全スポークスマンを兼務しているという表示が3月11日の地震発生のときにありました。この首席統括安全審査官というのは安全チェックをする人なんでしょう。その人が、安全です安全ですという安全スポークをやるわけなの。 247 ◯山本原子力安全・保安院原子力発電検査課長  多分、地震発生直後の広報体制のことをおっしゃっているんだと思います。当初、審議官の中村という者がやっておりました。現在は西山審議官──詳しくは知りませんが、何かきょう異動になったようですけれども、中村が、以前、審議官に着任する前にその首席統括安全審査官をやっていたということだと思います。 248 ◯古村委員  やっぱり、こういうところにも我々は不信を持つと。チェックをする立場の人が安全スポークをやるというところにも何となく解せないものがあるし、保安院に対する不信が募るばかりというところであります。  最後になりますけれども、再処理施設における過酷事故、一体国はどういう事故を想定しているのかお聞きします。 249 ◯真先原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長  お答えをさせていただきます。  再処理施設におきます過酷事故ということなんでございますが、この過酷事故というのをいわゆる設計想定を超える事象と考えさせていただくとするならば具体的にどういうことを想定しているのかということでございますけれども、例えば、今回緊急安全対策で想定いたしました内容は全交流電源喪失という事象でございます。これは、設計では、外部電源喪失の際に非常用ディーゼル発電機が立ち上がる──これは複数台ありますので、片方が故障しても立ち上がるという想定ですが、設計想定では、それでもなおかつ30分の立ち上げ失敗を想定した上での評価がなされております。
     ただ、今回の緊急安全対策では、その非常用発電機が複数台ありますけれども、これが全台立ち上げ失敗ということを想定して今回評価させていただいているということでございます、これは一つの想定事例ではございますけれども。  以上でございます。 250 ◯神山委員長  これをもって質疑を終わります。  参考人の皆様に対し、委員会を代表して一言お礼を申し上げます。  本日は、お忙しい中を当委員会に御出席くださり、委員の質問に御回答いただき、心から感謝申し上げます。本日はまことにありがとうございました。  これをもって原子力・エネルギー対策特別委員会を終わります。 ○閉 会  午後 4時33分 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...